2009年12月29日火曜日

あきらめない検事に!

女性の割合が4割に近いということで、この人数比過去最高となりました。
目覚ましい活躍ですね。
67人の新任検事ですが、しっかりとした自分なりの検事像を持っているようです。
裁判の制度が変わりつつあるなかで色々と問題も出てくるでしょうけど、経験を生かして頑張ってもらいたいですね。

◆「あきらめない検事に」 新任検事辞令交付式(2009年12月21日 MSN産経ニュース)

 新司法試験に合格し、司法修習を終えた法科大学院出身の新任検事67人の辞令交付式が21日、法務省で行われ、千葉景子法相から辞令が交付された。法 務省人事課による、新任検事は25~34歳で平均27・9歳。女性は26人で38・8%と、過去最高の割合になった。出身の法科大学院は慶応大10人、中 央大6人、東京大、京都大、上智大が各5人など。 式後、代表して会見した菊地英理子さん(34)は、青年海外協力隊でニカラグア派遣の経験などもあり、「(海外の)法整備支援と事件解明の両方をしたい」「相手を安心させて、じっくり話を聞くという点で女性の特性が生かせる」とコメン ト。阪本英晃さん(26)は「裁判員制度の定着と発展に努力したい」、竹本康彦さん(31)は「“あきらない検事”を目指す」などと抱負を語った。

2009年12月18日金曜日

医師の大学院学費免除

病院の赤字って聞くとなんだか違和感なんですよね。

奈良県の吉野町の吉野病院に勤務するという条件で大学院進学の学費免除制度が制定されました。

田舎の病院の医師確保に有効な手段でしょうかね。

赤字の病院を支えるためにまた犠牲を払っている状態から脱出したいでしょうね。

◆吉野町:吉野病院勤務なら、医師の大学院学費免除--条例制定 /奈良(12月15日 毎日新聞)

 吉野町は町立吉野病院の医師確保策として、医師が大学院に進学する際に入学金や学費を貸与し、同病院に勤務すれば入学金と、勤務した期間の学費の返済を免除する条例を制定した。

 同病院では、整形外科に奈良県立医大から派遣されていた常勤医3人のうち、1人が8月に退職。もう1人も12月いっぱいで退職することになり、「少しでも医師に魅力がある病院にしたい」と、制度を設けることにした。

 整形外科は現在、非常勤医1人が診療に加わり、1月からはさらに1人増員する方向で調整中。同病院は年間約2億円の赤字で、整形外科は入院患者が半減し、約6000万円の減収が見込まれている。

 制度は、長野県上田市を参考に条例を検討。貸与額の上限は入学金が80万円、学費が月5万円で、県立医大ならいずれも賄うことができる。同病院に勤務しながら通学すると、全額町の負担になる。

 制度を規定した条例は12月定例町議会で可決された。同病院は内科など8診療科があり、ベッド数は99床。

2009年12月17日木曜日

法科大学院2次試験で出題ミス

法律って曖昧なイメージが強いんですけど、どうなんでしょうか。
どっちにもとれるようになっているから、弁護士と検察があれだけ闘わないといけないのかと・・・
試験も問題を作る上でかなり難しそうですよね。
大学院の問題ともなると、かなり細かいところをついて問題作成しなくてはいけなそうですし。

◆東北大:法科大学院2次入試で出題ミス /宮城(12月3日 毎日新聞)

 東北大は2日、同大法科大学院が11月21日に行った法学既習者対象の来年度入試2次選考で出題ミスがあったと発表した。受験者150人全員を正解とする措置を取るが、合否に影響はないという。

 ミスは法学専門科目試験の民事法のうち民法の選択問題で発覚。条件設定が不適切で正答を選べなかったという。試験問題の作成者が採点中に誤りに気づいた。同大のホームページなどで公表する。

2009年12月10日木曜日

VIP待遇

学費免除、快適な学生寮、学生の為にそこまでの待遇しなくてはいけないのか!?というような学生確保合戦です。
学生からすればこんないいことはないでしょうが、温室の中で育つよりも厳しい環境の中で育つ方が強い審のある人になると私は思ってしまいますが・・・
昔の人の考えっぽいね・・・^^
ロースクールを志望する人が減っている今、学生獲得のための戦いは増す一方です。

◆都市圏で入試/学費免除(11月21日 読売新聞)

 新司法試験の合格実績が低迷する地方の法科大学院が、都市部で入学試験を実施したり、成績優秀者の授業料を免除したりと、優秀な学生の確保に懸命になっている。21日には、島根大法科大学院(松江市)が初めて大阪市内で入学試験を実施。ただ、今月上旬に初めて東京で試験を行った香川・愛媛大の法科大学院(高松市)では、志願者数が過去最低を更新するなど依然として厳しく、「学生の中央志向が強く、このままでは生き残れない」と切実な声が漏れる。

 今年度の司法試験合格者が1人だった島根大法科大学院では、開設された2004年度の志願者は304人だったが、昨年度には84人まで減少。今年度から成績上位者の学費を免除する制度も導入し、過去の願書取り寄せ状況から「潜在的な志願者が多い」と今回、大阪に入試会場を新設した。

 広島修道大(広島市)は受験者の負担に配慮し、これまで筆記と面接の2回にわけていた試験を1回にまとめて実施するという。

 また、香川・愛媛大の法科大学院は「優秀な学生がいても、『学費が免除されるので私立に行きます』と言われると、打つ手がなかった」と、今回の入試から優秀者の学費免除制度と東京での試験を採り入れた。

 だが、志願者数は42人と、今年度の73人からさらに減少。東京会場の志願者はわずか7人にとどまり、地方の法科大学院の窮状が改めて浮き彫りになった。

 志願者数の減少は、9月に発表された新司法試験の合格率が27・64%と初めて3割を割り込み、リスクを恐れた優秀な人材が法科大学院を敬遠したことも一因とみられる。志願者増には合格率の引き上げが一番だが、ある法科大学院の教授は「幅広い教養を身に着けた法曹を養成するのが法科大学院の役割だったはず。司法試験のための教育でいいのか」と苦しい胸の内を明かした。


 法科大学院 2004年度にスタート。当初は修了者の7~8割が新司法試験に合格するとみられていたが、合格率が低迷。今年度の入学者総数は昨年度から11%減り、約8割にあたる59法科大学院が定員割れとなった。中央教育審議会の特別委員会は定員削減や統廃合の検討を求めている。

2009年12月1日火曜日

ジュニアロースクール

大人気のキッザニアって小学生対象でしたよね?
中学生バージョンとか作ったら以外に受けるかもよ。
リアルな議論って結構楽しいと思います。
法学部を目指さなくても、将来裁判員として裁判に出ることも考えられますからね。
法律が身近な存在となっていれば抵抗なく受け入れられそうですね。

法的な考え学ぼう 中学生が模擬裁判 葵区(11月29日 静岡新聞)

中学生に法的な考え方を身に付けてもらおうと県弁護士会は28日、静岡市葵区の弁護士会館でジュニアロースクール静岡を開いた。静岡市などの中学生15人が参加して、模擬の裁判員裁判を体験した。
  模擬裁判はDVD販売店で発生した強盗致傷事件を想定し、同会の弁護士が裁判官、検察官、弁護士、被告人役を務めた。参加した中学生は被告人や証人に対し て、犯行時間帯のアリバイ証言、証言の信用性について熱心に質問した。その上で、四つのグループに分かれて評議し、それぞれ判決を出した。
 参加 した同市葵区の橋本知歩さん(15)は「裁判や法律に関心があり、将来を考えて参加した。ほかの生徒と議論ができて、勉強になった」と話した。山本正幸弁 護士は「結果よりも被告や証人に質問して得た証拠などから、活発に議論する過程が大事。それを体験してもらえて意義深かった」と感想を述べた。
 同会は中学生を対象にし模擬裁判を今回、初めて主催。山本弁護士は「今後も中学校での出前講座や公民の授業にアドバイザーとして参加して、法律を身近に感じられるようにしたい」と話した。

2009年11月26日木曜日

法科大学院生がネットで中傷

大人になりきれない人が多いですね。
法科大学院1年生というとまぁ22歳にはなっているはずですよね。
知らないところで誰かを攻撃するっていうのは卑怯すぎますよ!
この学生は将来何になりたいんでしょうか?
弁護士になりたいとか言ったら、はぁ?って感じなんですけど。
どんなにいやな事があったのか知りませんが、方法は他にもあったはず。

◆ネットで中傷、学生停学処分 神戸大学法科大学院(2009年11月21日 神戸新聞)

 神戸大学(神戸市灘区)は20日、インターネット上の掲示板で個人を特定した誹謗(ひぼう)中傷を繰り返したとして、同大学法科大学院1年の男子学生1 人を19日付で停学処分(1カ月)にした、と発表した。掲示板には今年5月末~7月に、この学生と同学の男子学生らを攻撃した約2000件の書き込みが あった。 神戸大によると、被害に遭った学生から相談を受けて7月3日、学内に警告を張り出しところ、同8日、男子学生が「自分がやった」と申し出た。約 100件の書き込みを認めたという。
 大学は調査委員会を設け、1年生全員から聞き取りをしたが、この男子学生以外は関与ていないと判断したという。 この男子学生は、被害学生やその両親にも不適切な郵便物を送っていたことが判明した。
 赤坂正浩・大学院実務法律専攻長は「聞き取りをしたが、はっきりとした理由は分からない。他人の権利擁護の仕事を目指す学生。遺憾としかいいようがない」と述べた。被害に遭った学生は9月、退学したという。

2009年11月19日木曜日

内定率62.5%…

弁護士の就職難もひどいですが、来春卒業の大学生の内定率低っ!

スッキリした気持ちで新年を迎えることのできるようにしたいと今必至でしょうね。

男女の差はそんなにないようです。

特に何か一定の所が採用を控えているというより、全体的に控えているんでしょうね。

予想外の氷河期到来ですよ・・・

来春卒業予定大学生・内定率62.5%…下げ幅 過去最大(11月19日 読売新聞)

 厚生労働省と文部科学省は19日、来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)が62・5%で、前年同期を7・4ポイント下回っ たと発表 した。下げ幅は1996年の調査開始以来最大で、就職氷河期の98年(6・1ポイント減)を超えた。内定率は過去3番目の低さだった。

 内定率は男子63・3%(前年同期比6・5ポイント減)、女子61・6%(同8・5ポイント減)。地区別では、関東が62・9%(同10・5ポイント減)、中部61・4%(同6・8ポイント減)と下げ幅が目立った。

 昨年秋、リーマンショックなどの影響で日本経済は急速に不況に突入。内定取り消しなどが相次いだ。今回の調査で、1年たっても雇用情勢に回復の兆しがみられないことがわかり、政府は「第2の氷河期」を防ぐとして、緊急雇用対策本部で対策を急いでいる。

2009年11月13日金曜日

あまり人気がありません

国立の大学院や大学共同利用機関の研究環境っていうのは半端じゃないくらい整っているんでしょうね。それなのに学生が入ってきてくれないのはもったいない。

国からの研究費が出ているところでも返金が必要になってくるということ。

学生の探究心というものが少なくなってきているってことでしょうか?

◆12校で充足率9割切る=国立大の大学院-文科省(11月6日 時事ドットコム)

  文部科学省の国立大学法人評価委員会は6日の総会で、国立大と大学共同利用機関の全90法人に対する2008年度の業務実績評価をまとめた。この中で、大 学院修士、博士課程、専門職大学院のいずれかで学生数が収容定員の9割に満たなかった大学が12校あると指摘し、学生確保などに努めるよう促した。
 12校は今後、国から受けた運営費交付金の一部返納が必要となる。中でも弘前大、山梨大の博士課程と信州大の法科大学院は、07年度も充足率が9割を切っていたのに定員を見直しておらず、評価委は速やかな定員削減を求めた。

2009年11月10日火曜日

新しくできなかったね・・・

社会人経験者の受け入れ体制は整って無かったんでしょう。
それ以前に、受け入れるつもりがあったのか?って感じですが。
一昔前の終身雇用の考えが薄くなったとはいえ、職業を変えるってことに対してまだまだ反発する業界もありますからね。
新司法試験は今までと同じような人が受かるようになってるってことで、全く”新”でなかったってことです。

◆法科大学院、社会人苦戦…新司法試験の合格率2割切る(2009年11月7日 読売新聞)

「法学部出身」枠増やす動きも
 法律の知識だけでなく、幅広い視野を持つ法曹を育てたい――。

 そんな思いで社会人経験者の教育に力を入れてきた法科大学院が苦境に立っている。今年で4回目を迎えた新司法試験で、社会人経験者らの合格率は2割にも満たなかったからだ。合格の可能性が高い法学部出身者の枠を増やすなど、これまでの教育方針を転換する学校も出てきた。
 法学部以外の出身者や社会人経験者を主とする「未修者コース」(3年)に絞り、夜間のみ開講している筑波大法科大学院。「家族もいて、学費も捻出(ねんしゅつ)しなければならない」と語る30代の男性会社員の学生は、平日は仕事帰りの夕方から、土曜は終日、授業を受ける。
 ただ、同大の学生の勉強時間は、昼間も勉強できる他大学の学生と比べれば少なく、今年の新司法試験の合格者は3人(受験者は34人)。「豊富な経験を持つ法曹を育てるという司法制度改革の理念に沿った教育体制と自負しているが、現実は厳しい」と新井誠専攻長は悩ましげだ。
 早稲田大法科大学院は、法学部出身者の「既修者コース」(2年)の学生が1割、未修者コースの学生が9割と、社会人経験者の教育に力を注いできた。しかし、既修者コース中心のライバル校に後れを取り、今年の全体の合格率は、東大56%、慶応大46%に対し、早大は33%だった。
 このため、早大は2011年度入学者から、法学部出身者の枠を大幅に広げることを決定。定員270人中150人は既修者コースになる。教務担当の古谷修一教授は「受験で勝てる方にかじを切らざるを得ない」とため息をついた。
 鹿児島大の法科大学院は、地域で司法サービスを担う法曹の養成を掲げてきた。学生は種子島などの離島で3泊4日の法律相談実習を行い、弁護士と一緒に、土地の境界線を巡る紛争などの相談に乗っている。しかし、今年の合格者は2人だけ。来年度からは、学生に大規模校で刺激を受けさせるため、九州大との交換留学制度を始めるという。
 今年の新司法試験の合格率は28%で、既修者は39%、未修者は19%。大学院側には「未修者は3年の勉強では既修者に追いつけない」という声が根強く、日本弁護士連合会法科大学院センターの中西一裕弁護士は「出題方式など新試験のあり方を再検討する時期に来ている」と指摘している。

2009年11月4日水曜日

カリキュラムに問題あり

不適合の法科大学院の数の多さには困りものですが、不適合の判断後の改善については各大学任せなんでしょうか?
もっと全体的に真剣に変えようとしていかないことには、現状維持状態が続いてしまう気がします。
それに、ここまで司法試験の合格率が低いと対策の授業があってもいいような。
理想論だけではどうにもならないことってありますよね。

◆北海学園大「カリキュラムに問題」法科大学院が再評価要請(10月28日 産経ニュース)

 法科大学院の認証評価機関「日弁連法務研究財団」は28日、本年度上期に審査した北海学園大(札幌市)について、カリキュラムに問題があるとして平成23年度までに再評価を受けることを求めたと発表した。評価自体は基準に「適合」と認定した。

 財団によると、「展開・先端科目」に配置されている科目の一部が、司法試験対策に有利とされる「法律基本科目」の内容になっており、改善の余地がある。


2009年10月27日火曜日

民主が教員養成課程を6年に延長か

反対!反対!
なんでも長けりゃいいってもんじゃない!!
それよりも、先生になってからの経験がものを言うはず。
先生に足りないものは指導力もそうだけど、社会性だよ。
学校と生徒に縛られ過ぎていて社会ってものを見ないから、世の中の流れも分かってないし。
そんな状態で子供の将来のことをあれこれ指導するのが無理あるんじゃないかな。

自分のお金に関する情報がどうやって知られているのか私たちは自分でしらないですよね。
ブラックリストに載ってる人って報告がくるんですかね?
あなた載りましたよ~って?なぞ。

◆365アンケート「民主が教員養成課程を6年に延長 あなたの意見は?」集計結果(10月26日 BNNプラス北海道365)

 「BNNプラス北海道365」は、毎週新たなテーマを設け、読者のみなさんが参加す「365アンケート」を実施しています。

 「教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す。教員の養成課程は6年制(修士)とし、養成と研修の充実を図る」(民主党マニフェスト)。

 民主党は、教員の資質向上のため、現行では4年生大学の卒業で与えられる教員免許の取得条件を大学院修士課程修了に改め、養成課程を6年に延長する方針を明らかにしています。文部科学省も、来年度予算の概算要求で制度の創設に向けた調査費を盛り込む考えです。

 「365アンケート」は、10月19日から25日までの1週間、「民主が教員養成課程を6年に延長 あなたの意見は?」のテーマで実施しました。

 アンケートの期間中、270人の方に参加していただきました。設問と投票結果は以下のとおりです。

 (1)教員養成課程の延長に賛成ですか。

 ・賛成 14票

 ・反対 253票

 ・判断できない 3票

続きは⇒
http://www.hokkaido-365.com/news/2009/10/post-504.html

2009年10月22日木曜日

トムをチラ見しつつ・・・☆

トム・クルーズが自分の弁護士でもある教授の授業に特別参加したそうですよ!
これは学生にとっては忘れられない一日になったでしょうね。
トム・クルーズほどの人が普通に教室に入っていってしまうってところがアメリカって感じですよ。
日本にも来ないかなぁ~
まずその前に、あたし法学部に入らなきゃ>_<;

◆トム・クルーズがハーバード大学のロー・スクールに1時間入学!学生はトムをチラ見!(10月7日 シネマトゥデイ)

 映画『ザ・ファーム/法律事務所』で弁護士を演じたこともあるトム・クルーズが名門ハーバード大学で、トムの弁護士でもあるバート・フィールズの講義を聴講した。

 ハリウッド・レポーターによると、トムは長年フィールズ氏と親交があるものの講義を聞いたことはなかったという。フィールズ氏は芸能関係の法律の講義の ゲストだった。学生たちはトムの来訪にソワソワし、講義中はトムをチラ見していたらしい。トムは隣の生徒に静かに話し掛けるなどしていたようだが、勤勉に 講義を聴講していたらしい。

 講義の後は、トムの周りに人だかりができ、トムもいつものサービス精神を発揮。ハーバードの新聞HLSによると「トムはおそらく教授たちが講義後に割いてくれるよりも、多くの時間を生徒たちに割いてくれた」と締めくくっていた。

2009年10月15日木曜日

ロースクールの志願者減

質の向上を狙うつもりが、これじゃあ低下しちゃいますね。
日本の学校って入口が厳しくて、出口が甘いってよく言いますよね。
法科大学院の出口の先にはもちろん司法試験があるんですが、新司法試験に関して言えば、7~8割の合格率になるんだか、するんだかって話だったから油断しているというか、法科大学院に入っただけで満足していまっているところもあるんじゃないでしょうか?

◆ロースクールの志願者減 法相「大変大きな課題」(2009年10月13日 J-CASTニュース)

多大な学費と時間をかけても合格率は3割以下――。新司法試験の門が年々狭くなっているのにあわせて、法科大学院の志願者も減少し、定員割れする大学が続出している。千葉景子法相も「大変大きな課題だ」と深刻さを認識しているようだ。

募集40人に対して「志願者」36人
2009年の新司法試験の合格者は9月10日に発表され、合格率が27.6%と初めて3割を切ったことが話題になった。それと前後して、各法科大学院では来年度新入生の選抜試験が行われたが、志願者が定員に満たない大学も出るなど「法科大学院離れ」が鮮明になっている。
大阪府吹田市にキャンパスを構える大阪学院大。秋期入学試験で40人を募集したところ、志願者は36人しかいなかった。願書提出段階ですでに定員割れという惨憺たる状況だ。だからといって全員を合格させるわけにもいかず、募集の半分の20人を合格とした。
神奈川大(神奈川県横浜市)も、30人の募集に対して志願者は59人。2倍を切る少なさだ。駒沢大(東京都世田谷区)は2010年度前期入試で40人を募集したが、志願者数は定員を1人だけ上回る41人で、合格者24人の定員割れとなった。
これら志願者減少の背景には、司法試験での合格率の低迷がある。大学全体の合格率も27.6%と高くないのだが、大阪学院大5.6%、神奈川大6.7%、駒沢大10.0%と、不人気校は平均を大きく下回っている。
早稲田大(東京都新宿区)の法科大学院(司法試験合格率32.6%)の2009年秋入試に合格した早稲田大法学部生は「早慶レベル以下のロースクールに行くことはまったく考えていなかった。司法試験の合格率の問題もあるが、合格後の就職でも実績のない大学は不利になるので」と語る。

「ロースクールは少子化対策にすぎなかった」
「下位ロー」。法科大学院の学生やその受験生の間では、司法試験の実績がない大学をこう呼ぶ。下位のロースクール(法科大学院)という意味だ。合格率が5割を超す一橋大や東京大などのトップ校と、1割にも満たない大学の「人気格差」は歴然としている。このような事態に対して、ある不人気校の関係者は「法科大学院受験の前提となる適性試験の受験者数が年々減っていることからわかるように、全体の志願者のパイ自体が小さくなっている。当初は新司法試験で7、8割の合格者を出すという話だったのに、当初の設計と随分ずれてきてしまっている」と試験の運用に問題があると指摘する。だが、東京都内の法科大学院を卒業した30代男性は、安易に法科大学院を設置した大学にも責任があると批判する。
「下位ローのほとんどは少子化時代の新たな収益源としてロースクールを作った。新司法試験ではどんなに成績が悪くても合格させてもらえると思っていたのだろうが、現実はそんなに甘くない。私立だと数百万近い学費を取っている大学もあるが、新しい制度を使って金儲けをしたかっただけではないか」
このような状況を受け、民主党内では法科大学院の総定員を削減するため、設置認可基準の見直しをすべきだという声も出ている。弁護士出身の千葉景子法相も10月9日の会見で「ロースクールの現状については承知している」としながら、次のように話した。 「いますぐロースクールの方向性を転換するという段階ではないが、大変大きな課題なので、各ロースクールに教育内容を充実させるようお願いする必要があると認識している。ロースクールで学んでいる方にとっては切実な問題であることも十分承知している。そういうことを念頭におきながら、文科省のみなさんといろいろと相談させていただきたい」

2009年10月2日金曜日

地域密着の教育

沖縄というところは複雑な歴史的背景をもっているところですよね。
そんな地域ならではの問題というのはたくさんあると思います。
肌で感じながら学ぶという教育環境はとても必要な場だと思います。
ただ、合格率の低さは問題ですね。
試験対策にばかり目が行ってしまって、肝心の地域密着の教育が疎かにならないといいですが・・

◆琉大法科大学院 地域にこだわり米軍基地法開講(9月27日 琉球新報)

 2004年に設立された琉球大学法科大学院。現在、1年生から3年生まで合計90人の学生が在籍し、法理論や訴訟の実務を学んでいる。「地域にこだわ り、世界を見る法曹人の養成」を基本理念に、学生による法律相談や基地関連法を学ぶ講義など特色あるカリキュラムを展開している。しかし一方で、新司法試 験の合格率低迷などの課題も抱えている。
 「沖縄の文化的、歴史的、政治的な背景を理解し、問題を解決する法曹を養成することが琉球大学に法科大学院を置く意義」。同法科大学院の高良鉄美院長は強調する。
 同法科大学院では、国内で唯一、米軍基地に関連する法律などについて学ぶ「米軍基地法」を開講。学生たちは、米軍基地に絡んで発生するさまざまな問題に対処するため、安保や地位協定などについて、県内で起きた実例を学びながら知識を深めている。
 ことし6月から7月にかけては、学生による無料の法律相談を初めて実施。学生たちは担当の弁護士立ち会いの下、一般相談者たちから話を聞き、地域で起こる多様な事案を学んだ。
 高良院長は「県内の訴訟では、親族相続の問題など、慣習と民法がぶつかりあうことも多い。(法律相談では)そういう現場に在学中から触れることができ る」と説明した。来年4月をめどに、沖縄弁護士会の支援を受けて、学生の教育を目的とした法律事務所の開設も計画している。
 さまざまな取り組みを展開している同法科大学院だが、新司法試験の合格率低迷は大きな課題だ。
 同法科大学院の1期生16人が受験した07年の新司法試験では7人が合格し、合格率は43%と高水準だった。しかし、翌08年は受験者24人に対し合格者3人(13%)と落ち込み、09年は受験者40人で合格者は4人(10%)と厳しい状況だ。
 高良院長は合格者の低迷について「首都圏と比べ、(試験対策を)教える人材集めが難しく、情報格差が生じやすいため」とした上で「来年度からは補講など、司法試験対策の実施も検討したい」と語った。
 同法科大学院は文部科学省からの定員見直しの指示を受けて、現在30人の定員を10年度から22人に削減することをことし4月に決定。競争率を高め、優秀な人材を確保することで合格率の向上につなげる考えだ。

過払い請求って自分で出来るんですよ!
ただ、自分でやるのは面倒・・・何から手をつけたらいいのやら・・・
という人は、弁護士とか専門家に相談してみてください。
過払い請求の相談は初回無料ってところが結構ありますから。

2009年9月29日火曜日

571人が受験資格失う・・・

何度でも挑戦してはいけないんでしょうか?
回数を限定することの意味は一体何なんでしょうか?
法科大学院で学べることの多くをすぐに使ってほしいってことで司法試験の受験期間や回数に制限を設けているのかもしれませんが、法科大学院の環境やレベルが整っていない今、それは関係ないでしょうに。
もう、新司法試験を受けられなくなった600人近い人たちはどんな気持ちでいるんでしょうか。

◆多すぎた法科大学院…新司法試験、崩れた構想(2009年9月23日 読売新聞)

 法科大学院の修了生を対象にした新司法試験の合格率が低迷している。
 4回目となった今年の合格者数は2043人で、初めて前年割れとなり、合格率も27・64%と3割を切った。法科大学院で充実した教育を行い、修了生の7~8割が合格できる――。そんな当初の構想は崩壊し、受験生たちからは「国による詐欺だ」との声も漏れる。なぜ、新司法試験の合格率はこれほどまでに低いのか。

 ◆受験資格◆
 「幅広い人材を法曹にとの理念はどうなったのか」
 合格発表があった今月10日。愛知県内の受験生の男性(26)は、その低い合格率に衝撃を受けた。自身も2回目の挑戦だったが、不合格。新試験は5年間で3回不合格だと受験資格を失うため、次がラストチャンスになる。
 大学で美術を学んだが、法曹界が幅広い人材を求めていると知り、受験勉強をして、法科大学院の法学部以外の出身者を受け入れるコース(未修者コース)に入った。勉強のためアルバイトはできず奨学金を受けた。今後約700万円を返さなければならない。「次の試験に失敗したら、その後、別の仕事を探せるだろうか」と不安は募る。
 中国地方の法科大学院の教授は、未修者コースを修了した30代の教え子が3回目の受験に失敗し、受験資格を失った。「不況の上、年齢も高いこともあり就職も難しい。学校も支援するが、今後同様の修了生が増えたらサポートしきれるか……」と頭を抱える。

 ◆過剰定員◆
 「法科大学院の数が多すぎて、定員数が膨れあがってしまった」。ある法務省幹部は合格率の低さの原因をそう解説する。
 法科大学院と新司法試験は、幅広い見識を持つ法曹を数多く養成するという司法制度改革の一環で生まれた。国が掲げた目標は、2010年頃までに司法試験の年間合格者数を3000人へ引き上げるというもの。新司法試験は、知識詰め込み型の勉強が必要とされた旧司法試験と比べ思考力重視の内容とし、法科大学院は修了者の7~8割が新試験に合格できるような教育を行うこととされた。
 当初、適度な学校数と考えられていたのは20~30校。ところが、実際には74校が乱立し、定員は約5800人に膨れた。今年の試験に失敗した結果、受験資格を失った人は571人。関係者からは「就職困難な人を毎年大量に生み出すのは社会問題」との声もあがる。

 ◆教育の質◆
 14日開かれた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の法科大学院特別委員会。特に今回の試験で、法学部出身者(既修者)より未修者の合格率が約20ポイントも低かった結果を受け、「合格の基準が未修者をすくい上げるものになっていないのでは」との指摘が相次いだ。だが司法試験を所管する法務省は、「既修者と未修者で合格ラインを変えるわけにはいかない」と言う。
 一方、司法試験合格後、司法修習生となった人が法曹資格を得るために受ける卒業試験でも、不合格者数が増えている。不合格となった法科大学院出身者の答案には、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則などを理解していないものもあり、法科大学院の教育の質も問われている。
 新司法試験の合格率の低さから、すでに法曹を目指す人は減り始め、半分以上の学校で入試の競争倍率が2倍を切った。各校はようやく定員削減に乗り出し、来年の入学者の総定員は4900人程度になる見通しだ。しかし、青山学院大法科大学院の宮沢節生教授は「定員削減はまだ不十分。現状を放置すれば法曹志望者は今後も減り、特に未修者が遠ざかって、多様な法曹を養成できなくなってしまう」と指摘している。

 ◆新司法試験=2004年以降に開校した法科大学院の修了生を対象とし、毎年5月に実施。法学部出身者向けの既修者コース(2年制)修了生は06年から、他学部出身者や社会人向けの未修者コース(3年制)修了生は07年から受験している。合格率が3%前後と難関だった旧司法試験も10年までは存続する。

2009年9月18日金曜日

政府の責任はないの?

合格率が低いってことだけを責めても仕方ないでしょうから、何かしらの改善策を一緒に考えないと。
少しずつでしょうが、対策を取っているのに年々下がってきているってことは、根本のところで何かがズレている可能性もありますよね。
法科大学院の行き過ぎたところは曖昧ではなく、 ビシっと話すべきですし。

◆法相「合格率低い」 法科大学院に苦言(9月11日 産経新聞)
  森英介法相は11日の閣議後会見で、10日に発表された今年の新司法試験結果について、「合格者が昨年より下回り、合格率が極めて低い法科大学院がある ことは事実。法曹に必要な能力、学識を備えた修了生を養成するという目的を十全に果たしていない。改善に一層取り組んでいただきたい」と述べた。

 また、合格者数が法務省の示した目安を大幅に下回り、平成22年ごろに合格者数を3千人とした政府目標の実現が厳しくなったことについて「目標をこの時 点で変更する必要性は感じていない。目標達成が容易でないことは明らかだが、引き続き、それに近づく努力をすることが妥当だ」とも話した。

 制度設計時の想定を越える法科大学院の数(74校)については、「国から数を減らせとか言える筋合いではない。それぞれの大学の自主的な判断によらなければいけない」とした。

2009年8月23日日曜日

裁判に行ってみたくなりますね

法科大学院の学生じゃなくても裁判員制度には興味ありますよね。
さいたま地裁で行われた裁判員裁判には東京地裁には及ばないものの多くの人がわずかな席を求めて並んでいました。
今回はリストバンド方式を取り入れたとあって、長い待ち時間を並ばずに済むのは好評なようで。

リストバンド方式好評 傍聴券48枚に810人殺到 裁判員裁判(8月11日 Web埼玉)
 台風により風雨が強まる10日午前、一般傍聴券を求めたのは48席に対し810人。3日に東京地裁で行われた初の裁判員裁判の傍聴希望者2382人には及ばなかったものの、依然狭き門となった。

 さいたま地裁はこの日、暑い中での行列を想定し、正午すぎの抽選まで並び続ける必要のないリストバンド型整理券方式を初めて取り入れた。

  法科大学院を修了し、弁護士を目指す白岡町の根本将英さん(30)は「並ばなくていいのは画期的。待ち時間の控室もクーラーが利いていて座れた」とにっこ り。3日の東京地裁の傍聴券は外れたが今回は獲得。「雨で低倍率になると思ってきた。資料通りに話す検察官と違い、メモを見ずに説明する弁護士に裁判員が 見入っていた姿が印象的だった」と、傍聴に充実感を漂わせた。

 冒頭陳述などがあったこの日の審理は、映 像を駆使し資料に沿って説明する検察側、映像は一切使わず、身ぶりを交え裁判員らに直接語り掛ける弁護側と対照的だった。横浜市の会社員男性(60)は 「検察の映像を使った説明は分かりやすかった」と、傍聴者の印象は分かれたようだ。

 裁判員について、東 京都練馬区の東京外国語大2年、橋場祐輝さん(20)は「傷口の映像も証拠として冷静に見ていたのが印象的。いい意味で素人的な質問を被告にしていたのは 意義があると感じた」。さいたま市岩槻区の無職男性(70)は「自分が裁判員になったら足利事件のような冤罪(えんざい)を絶対つくらないよう心掛けた い」と、感想を口にしていた。

2009年8月8日土曜日

一定の理解を得ました

裁判員裁判、始まる前はあんなに否定的な声が多かったですが、始まってしまえばね。
ただ、法科大学院の方針については始まってしまったとは言えもう一度考え直す必要あるんじゃないですかね?

民意を汲む法曹へと変化していく中で象徴となる裁判員裁判が成功していくといいですね。

◆初の裁判員裁判始まる 「社会支える」新たなスタート(8月4日 産経新聞)

 法律の専門知識を持たない国民が、裁判官とともに法廷に立ち、証拠ややり取りを見聞きして被告を裁く裁判員裁判が始まった。

 裁判員裁判は国民の司法参加という側面はもちろん、分かりやすく迅速な審理を実現するために、検察、弁護側双方の立証・主張手法を変える。さらに取り調 べの録音・録画をはじめ、捜査にも影響を与える。今回の第1号裁判には、昨年12月に導入された被害者参加制度に基づき、遺族も出廷する。

 従来とは大きく変わる今回の法廷は、刑事司法だけでなく、民事や法科大学院など、広い分野で進む司法制度改革の“象徴”ともいえ、改革全体が円滑に進められるかどうかを占う試金石にもなる。

 また、3日の裁判員選任手続きは、国民の参加意識を測る指標にもなった。内閣府の世論調査では、7割が裁判員裁判に参加する意向で、検察・裁判所関係者 は「一定の理解を得た」と評価していた。ところが、3日の東京地裁には、裁判所に出向くべき候補者49人中、47人が訪れた。事前に辞退を柔軟に認めてい たとはいえ、認知度と参加意識の高まりを物語っている。

 この制度は、裁判員はもちろん、候補者段階から国民に時間的、精神的負担を強いるものだ。ただ、それでも務めることで、やりがいや社会を支える実感を持 てる制度に育てていかねばならない。併せて、司法に対する信頼を高める契機にもしないといけない。法曹三者のみならず国民も含めて、新たなスタートライン に立ったことは間違いない。

2009年7月16日木曜日

画期的なシステム!

司法の場でのIT技術の進歩に合わせるように法科大学院でも新たな試みが始まっています。
自分が大学生の時には考えられないような環境になりつつありますね。
鉛筆とノートの持ち込み禁止なんて、信じられませんよ!
技術の進歩はすごいです。

ただ、鉛筆にノートといったアナログの暖かさってなくなってほしくないなぁと思いますね。
必要のないところはアナログでお願いします(^^)v

◆最先端ITで弁護士育成 九州・沖縄の4法科大学院連携(2009年7月13日 朝日新聞)

 スクリーンの中で熱弁をふるう教授がいるのは、数百キロ離れた別の大学。ノートと鉛筆は持ち込み禁止。メモはパソコンで打ち、学生同士の討論もチャット(ネット上の雑談)で行う――。テレビ電話会議システムを使った講義が九州・沖縄の4大学の法科大学院で行われている。IT(情報技術)を活用した遠隔授業で、質が高く、司法過疎を見据えた未来型弁護士の育成を目指す。

■ノート禁止 PCのみ、チャットで討論
 福岡市東区にある九州大法科大学院の教室。約50人の学生の前には、黒板の代わりに三つの大型スクリーンが並ぶ。教授は教室に設置された6台のカメラをパソコンで操り、講義する自分自身の顔、発言する学生、教室の全景を代わる代わるスクリーンに映す。
 同時刻、約300キロ離れた鹿児島市の鹿児島大法科大学院の教室で、学生たちが同じ講義を受けていた。三つのスクリーンには九州大と同じ映像が映る。
 質問しようと鹿児島の学生が手を挙げた。福岡にいる教授が鹿児島のカメラを遠隔操作し、学生が大写しになる。画面を通した専門的な会話が一対一で繰り広げられる。教授と学生のやりとりはスムーズで、気になる時間差は全くなかった。
 スクリーンによる授業は、九州、熊本、鹿児島、琉球の国立4大学の法科大学院が連携して進める最先端の遠隔講義システムだ。NTTに開発を依頼し、1校あたり数千万円をかけて導入した。他の大学院との差異化をはかり、競争に生き残るべく、04年から運用を始めた。運用の中心を担う米田憲市・鹿児島大法科大学院教授は「最先端システムを、法曹を目指す学生が使っている」と胸を張る。
 講義中、学生の手元にあるのはノートパソコンだけ。キーボードに視線を落とさずに文字を打つ「ブラインドタッチ」を身につける目的で、一部授業はノートと鉛筆が持ち込み禁止だ。九州大法科大学院2年の梶田崇雄さんは「大学時代は紙とペンだったので驚いた。むしろ、パソコンは持ち込み禁止、という考えがあったから」と話す。
 この時行われた講義では、学生が班別に行った架空の法律相談を全員で検証した。議論はネットを通じたチャットで行った。教室に響くのはキーボードをたたく音だけだ。パソコンの画面には「俺(おれ)、過去の判例調べてみる」「よろしく~」とのやりとりが。教授もチャットに参加し、「判例を集めたネット上のデータベースを使うとよい」と助言を送った。

■講義の充実など狙う
 遠隔授業の狙いは、大きく二つある。
 一つは、講義内容の充実だ。九州・沖縄の各法科大学院は、学生数や司法試験合格者数で首都圏に及ばない。
 法科大学院創設から5年の鹿児島大で学ぶ学生は30人。この間、司法試験の合格実績は年1人か2人。ITを駆使した授業に、九州大の西山芳喜法科大学院長は「地域の大学力を高めるためには、互いに手をつなぎ合うことが必要」と意義を語る。
 各校の教員が、それぞれの専門分野や得意科目を受け持って複数の大学向けに教えることで、限られた人材で質の高い講義を提供できる。現役弁護士や裁判官など、実務家教員の講義を共有できるのも魅力だ。
 複数の教員が協力して一つの講義を進めることもできる。また、専門分野が重なる教員にとっても、お互い、研究・教育上の刺激になると大学側は期待している。
 もう一つの狙いは、過疎化する地方の法曹界への対応と、ITに強い法律家育成だ。
 離島が多い鹿児島や沖縄では、離島の住民が法律相談をしたくても、弁護士側が「移動時間と費用がかかりすぎる」などの理由で断る場合も少なくない。そんな悩みを抱える住民の声に応えるため、鹿児島大が中心となって、このシステムを推し進め、他大学を巻き込んだ。鹿児島大は、テレビ電話を活用して法律相談を行い、電子データで資料をやりとりするという将来像を描く。また弁護士が少ない過疎地でも、都市部と同じレベルの司法サービスを住民に提供したいと考えている。
 ある司法関係者は「法曹界はIT普及が最も遅れている業界の一つで、資料のやりとりもいまだにファクスが主流。優秀な弁護士だが、パソコンを使いこなせないという人もいる」と指摘する。学生時代からパソコンなどに慣れ親しむことによって、ITに苦手意識を持たず、使いこなせるようになると期待されている。
 一方、裁判員裁判の導入で日本の法廷も口頭主義になりつつある。パソコンに向かうだけでなく、人と直接やりとりするコミュニケーション能力を高めることが法律家には必要だ。
 鹿児島大は、IT講義とあわせ、少人数で行う討論やカウンセリング、模擬裁判などの演習科目を重視する。学生が実際に離島に出向き、相談者と面会してアドバイスをする法律相談実習も必修科目にしている。米田教授は「司法過疎地が多い地方の弁護士には、直接対話はもちろん、ネットを通じたコミュニケーション力が求められている。IT講義で、弁護士になれば必要になる、この二つの技術を磨いてほしい」と話した。

2009年6月23日火曜日

法曹界の人気

法科大学院の定員削減数が具体的に出て来ましたよ。
その前に、74校も法科大学院があることを知らなかったのと、その半分以上で定員割れがおきていたなんて、法曹界の人気のなさが表れてるんですかね。
これからも法科大学院の対策は出てくると思いますが、まずは一つ目の定員削減がどのように影響してくるのか注目が集まりそうです。

◆法科大学院は多すぎるのか 低迷する入学者数、教育の質、司法試験合格率
(2009年6月21日 MSN産経ニュース)

 裁判員制度とともに、司法制度改革の柱として創設された法科大学院が迷走している。
入学者の減少、教育の質、司法試験合格率の低迷…。法科大学院協会幹部の口からでさえ「進路として魅力が低下している」との声がもれる。「このままでは三権の一角が崩れる」との指摘も出始めた。打開策はあるのか-。

 「もっと何とかならないか」…データ公開の衝撃
 「いよいよ文部科学省が“外堀”を埋めてきた」

 地方にある小規模の法科大学院関係者はこう話す。文科省が6月5日、中央教育審議会(中教審)法科大学院特別委員会の会合で示した資料に危機感を強めているのだ。
 資料には74法科大学院別の今年度入学者の定員、志願者、受験者、合格者、入学者、競争倍率などが載っており、その内容は新聞各紙で「倍率2倍未満42校」「志願者総数3万人割れ」「59校定員割れ 13校は5割下回る」などと報じられた。同省がここまで数字を出したのは初めてだ。
 文科省の担当者によれば、「4月にまとめた特別委の報告書でもこれらのデータを公開するよう求めており、当然、各大学院において公表すべき内容」だが、入学者数などの一部データをこれまで公表していなかった法科大学院には衝撃だった。
 実はその4日前、法科大学院協会による全校アンケートで、来年度約700人の定員削減や教育改善策が公表されたばかりだった。「文科省の資料提示はアンケートの内容ではまだ生ぬるい、足りないという姿勢の現れじゃないか」とみる法曹関係者もいる。
 実際、昨秋文科省が全校を対象に行ったヒアリングの際、「今回のアンケートで答えた削減案を伝えたところ、『もっと何とかならないか』と言われた。次の入試の志願者状況を見て考えなくてはいけないと思っている」と首都圏の法科大学院関係者が明かす。

「お金と時間がある人しか行けない」…理念崩壊
 そもそも、法科大学院は政府の司法制度改革審議会が平成13年の意見書で打ち出し、「司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤」の確立を目的に創設された。
 2-3年の修了者に司法試験の受験資格を与え、「『法の支配』の直接の担い手であり、『国民の社会生活上の医師』としての役割を期待される法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力の習得と、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養、向上を図る」という教育理念で社会人経験者や法学未習の他学部出身者など多様な人材を求めた。
 一方で規制改革、自由競争の方針から設立申請を制限せず、16年に68校、17年には6校が開校、総定員は5795人となった。法曹人口増員をうたい、司法試験合格者は15年の約1200人から段階的に増やして22年で約3000人にするとされたが、それでも半数近くが落ちる計算だ。
 18年にはじまった新司法試験の合格率は、当初想定の7~8割を下回り48、40、33%と年々ダウン。地方の国立大、小規模の私立大などを中心に入学者、教育の質が問題視され始めた。
 こうした事態に、弁護士で司法試験、法科大学院受験指導の「伊藤塾」塾長、伊藤真氏は「当初の理念が崩れている。社会人経験者、他学部出身者は減り、お金と時間のある人しか行けない。(修了後5年以内3回の司法試験)受験回数制限も精神的負担。司法試験に落ちたら、大学院側に(就職の)手当てはなく放り出される。これでは誰も目指しませんよ」と話す。
 その結果、「優秀な人材が法曹界に入らなくなれば三権の一角が崩れる。司法権はある意味最大の国家権力。人を死刑にでき、政治家を追い落とすこともできる。だからこそ志高く、能力のある人が担わないといけない。票にも金にもならないが、全体を見られる政治家に真剣に考えてもらいたい」と訴える。
 すでに自民党の司法制度調査会や、法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会、民主党でも同様のプロジェクトチームが動き、一部では提言もまとめており、今後に注目も集まる。

低競争率の大学院に狭まる“包囲網”…対策は
 こうしたなか、伊藤氏は司法試験の受験資格から法科大学院修了の条件を撤廃する策をあげる。「個人で勉強する、受験指導校で学ぶ、法科大学院で学ぶ。人それぞれ。その後の仕事ぶりで法科大学院組が優位となれば存在意義もある」。さらに、「司法試験の合格者を司法研修所の代わりに法科大学院に入れ、修了すれば法曹になれる仕組みもいい」との案も。
 特別委の報告書では、競争倍率2倍未満の学校に早急な定員見直しを求めた。ただ、該当する法科大学院のひとつは、「定員の数は経営にも直結する問題で、数を減らせばそれだけいい人が入ってもこなくなる」と追い込まれそうだ。
 同じ定員削減案でも「各校単位でなく、(業界)全体で考えなくてはいけないこと」というのは、北海学園大学法科大学院の丸山治法務研究科長。「大学院の数を少数精鋭で中央集権的にするか、現状のまま各校が定員を減らすか。混乱が少ないのは後者」としたうえで、定員の基本を50人規模と提案する。
 「うちのように小さいところで20~30人、多くても倍の100人まで。それより多い大規模校が減らせば優秀な人材が他校に流れ、合格率が低かった学校もよくなる。入学者の質を確保した後、そこから教育面で自由競争になればいい」
 だが、“包囲網”はさらに狭まる気配だ。
 23年度から従来の司法試験に代わって導入される「予備試験」は、法科大学院修了以外で司法試験受験資格を得られる“バイパス”。法務省では「予備試験の合格者数や、予備試験組の司法試験合格率などはまったくわからない」というが、その合格率がよければ、法科大学院には脅威になりそうだ。
搾取種し責任も持たない…消費者への責任も
 評価機関による法科大学院の認証評価は今年度で一巡する。昨年度までに受けた68校の約3割、22校が「不適合」だったが、二巡目の重点評価項目として「修了者の進路(司法試験合格状況を含む)」が新たに加えられ、実績のない大学院はさらに厳しくなる。
 米国のロースクール認定基準には、司法試験に合格する見込みのない入学希望者や学生を入学させたり、在学させ続けたりしてはいけないという「消費者保護的な考え方」があるという。
 単純に比較はできないが、「このままでは、日本は(司法試験合格の)希望のない学生から搾取し、進路にも責任を持たないと言われかねない」(法曹関係者)。
 文科省の担当者は、現状について「全体としてはいい制度で、ロースクールになって昔の試験より合格率がよくなった学校もある。逆に厳しくなっているところと徐々に分かれてきているので…」と自由競争の行方を見定めている様子。
 各法科大学院の今後を左右する今年の新司法試験はすでに終了している。
 合格発表は9月10日だ。

2009年6月6日土曜日

5年以内に3回まで

法科大学院修了者が受けることのできる新司法試験を受けるのを控えている人が増えている。
その理由は、回数制限があるからだそうで、5年以内に3回までと決まっている。慎重派が多いんですね。
こうなると、ある特定の年度に多くなってしまうことも考えられますね。
それも駆け引きの一つなのかしら?

◆新司法試験、短答合格率68% 回数制限で受け控えも(2009年6月5日 asahi.com)

 法務省は4日、法科大学院の修了者が受ける「新司法試験」の短答式試験に、受験者7392人のうちの5055人(約68%)が合格したと発表した。合格者の年齢は23~69歳と幅広かったが、平均すると30.4歳。女性が約25%を占めた。

 今後、短答式試験の合格者を対象に論文試験の採点が行われ、最終合格者は2500~2900人に絞られ、9月10日に発表される。

 新試験としては4回目だったが、法科大学院を修了した出願者のうち実際に受験した割合は毎回下がる一方で、今年は過去最低の77.3%に。「5年以内に3回まで」という受験の回数制限があるためで、修了者の一部にある「受け控え傾向」が強まっているとみられている。

 合格者数は多い順に、東京大333人(受験者389人)▽中央大292人(同373人)▽慶応大266人(同317人)▽早稲田大266人(同380人)▽明治大241人(同310人)だった。

2009年6月3日水曜日

合格者の数

法曹界というか、弁護士の数を増やそうとしている政府の思惑と、実際の現場での教育環境にはかなりのズレができてしまっているのではないでしょうか。

各大学院とも整った環境でないにも関わらず、ここ数年は生徒を過剰に取り込み過ぎていたという現状をまずは改善するようです。

◆法科大学院定員18%減、予定なし6校…10~11年度計画
(2009年4月23日 読売新聞)

 全国74校の法科大学院が2010~11年度にかけて実施する定員削減計画の概要が22日、明らかになった。
 計画により、総定員は現在の5765人から約18%減の4700人台となる見通しだ。
 法科大学院を巡っては、過剰な定員が司法試験の合格率低迷を招いたと指摘されており、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)特別委員会が、定員を絞って教育の質を向上させるため、抜本的な定員削減を求めている。日本弁護士連合会も定員を4000人程度に削減するよう提言しており、削減数の上積みを求める声があがりそうだ。
 調査は法科大学院協会が74校を対象に、今年1月と3月にアンケート方式で行った。
 このうち、具体的な削減計画を明らかにしたのは41校の622人。削減の方向だが具体的な人数を決めていない大学院が22校あり、同協会関係者は最終的な削減数は1000人程度になると見ている。
 削減幅が最も大きいのは、新潟と神戸学院の41・7%、次いで鹿児島、東北学院、広島修道、福岡(09年度に削減)の40%だった。削減予定が「ない」と回答したのは、すべて私立で、専修、日本、立教など6校。
 08年の新司法試験合格率別では、1位の一橋(合格率61%)と2位の慶応(57%)は「検討中」で、3位の中央(56%)は削減予定なしとしている。
 一方、過去3回の新司法試験で1人しか合格者を出していない姫路独協は、09年度に既に定員を40人から30人に減らしている。08年の合格者がゼロだった信州と愛知学院は、信州が「検討中」、愛知学院は「最小11・4%、最大20%減」とした。

債務整理の体験談サイトを見つけました。
リアルな声って、貴重ですね。

2009年6月2日火曜日

法科大学院-700人削減へ

合格率の低迷により定員削減を行う法科大学院が9割に上るそうで。。
現段階で人数は700人程度で、今後さらに増え最終的には1000人とされている。

学生の質を確保し、少しでも高い合格率を出すことが急務となっているのは、
やはり当初の目標とはかけ離れた現在の合格率の低さが背景にあるでしょう。

法科大学院という名前を掲げている以上、その道のプロを育てていかなくては社会に認めてもらえませんからね。

◆法科大学院、700人削減へ 22年度定員 司法試験合格率低迷で
(2009年6月1日 産経新聞)

 法科大学院74校のうち、約9割にあたる65校が平成22年度以降に定員削減を予定もしくは検討しており、22年度の総定員数は現在の5765人から700人程度減少する見通しであることが1日、法科大学院協会の調査でわかった。
 法科大学院は20年度、74校中46校が定員割れし、司法試験合格率は33%と低迷。中教審の特別委員会は抜本的な定数削減や、「適性試験」で最低基準を設けることを求め、日弁連も定員を4000人まで削減するよう提言している。同協会は最終的な削減数は計1000人程度とみている。
 調査は同協会が1~3月、全74校にアンケートを実施(うち1校は公表拒否)。具体的な削減計画を示したのは47校で、検討中としたのが18校あった。
 削減率が最も大きいのは新潟と神戸学院の2校で、41・7%減。ほかに鹿児島、東北学院、広島修道、神奈川の計6校が4割以上削減する。
 一方、削減予定がないとしたのは中央や立教など私立5校。関東学院、姫路独協、福岡の3校は今年度から定員削減を行っている。
 20年度の新司法試験合格者がゼロだった信州と愛知学院は、信州が「検討中」、愛知学院が「20~11・4%減」としている。
 入学者選抜について適性試験の比重を上げたり、論述試験を充実させるといった改善をしているとしたのは約8割の59校。成績評価についても62校が再試験廃止などの工夫をしていると答えた。
       ◇
【法科大学院の定員削減予定】           
削減率       院数  学校名              
4割以上       6  新潟、鹿児島、東北学院、神戸学院、広島修道、神奈川
4割未満~2割超 10  金沢、静岡、学習院、創価など   
2割         21  北海道、東京、京都、筑波など   
2割未満      10  一橋、神戸、青山学院など     
検討中       18  東北、信州、首都大学東京、慶応など
予定なし       5  北海学園、専修、中央、立教など  
削減済み      3  関東学院、福岡、姫路独協     
(法科大学院協会まとめ)    

2009年5月21日木曜日

1億円かけてフリーターに・・・

大学院生の就職難は結構耳にしますね。
博士課程を修了していることが邪魔・・・と言っては失礼ですが、その学歴が就職に有利に働いているわけではないという話を実際に聞くこともあります。

司法修習生の数を増やしたり、大学院生の数を増やしたりと足りない声にこたえて増やすだけ増やして、その後のことは全く考えてくれてないって失礼な話ですよね。

◆1億円かけてフリーター 大学院生「今の半分で十分」(5月17日 J-CAST)

大学院の修士・博士課程を修了しても安定的な就職先が見つからず、フリーター化している人たちが増えている。こうした高学歴ワーキングプアの人たちが生み出される背景には、国の「大学院生倍増加計画」が指摘されている。一方で、「博士の数はまだ足りない」という研究者や文部科学省内の声もある。どうすればいいのか。産学連携に関する人材コンサルティングに取り組んでいる企業「フューチャーラボラトリ」の橋本昌隆社長に聞いた。

誰でも入れて誰でも博士号を取れる

――大学研究者だけでなく、企業などで活躍できる専門知識を備えた人材を育成しようと、国は1991年度から10年間で大学院生を倍増化する計画を 進め、増加傾向は10年後以降も続いています。91年度に9万9000人弱だった院在学者数は、2000年度20万5000人、08年度は26万3000 人弱と、91年度の2.65倍に増えました。院生の数はまだ足りないのでしょうか。

橋本 全体としては明らかに多すぎます。大学院は間口を大きく開けた一方で、大学院教育の質を全く上げてきま せんでした。その結果、従来どおりの出口としての大学研究者ポストや企業採用の枠は基本的に増えていません。当然、就職できなかったり、できても期間限定 という不安定な状態でしか仕事ができなかったりする人たちが増えてきました。
博士の学位を取った後、任期付きなど安定的でない研究職に携わる人に限ったいわゆる「ポスドク」、ポストドクターだけでも1万7000人程度、さら に「隠れポスドク」が相当数いると見られています。大学4年間から大学院5年間、さらにポスドクの任期3年を2回やった場合、累計15年間で1人あたり1 億円も国費が投入されたことになるという試算もあります。こうした人材のうち少なからぬ人数がフリーター化している訳で、なんとももったいない話です。

――ではどの程度削減すればいいのでしょうか。

橋本 今の半分程度、つまり倍増加する前のレベルで十分だと思っています。もちろん実際には、分野によって人材供給が著しく過剰なところもあれば、もっと供給を増やすべきところもあります。ですが、全体としては半分に減らしても余裕で需要をまかなえます。

――しかし、まだ院生や博士の数は足りない、欧米先進国に比べ1000人あたりの博士の数は日本は少ない、と指摘する人もいます。

橋本 よく耳にしますが、不毛な議論です。アメリカの「博士」と日本の「博士」とは質がまったく異なります。同じ「博士」という言葉で議論するのは建設的ではありません。研究業績を出す力とマネジメント力など総合力をみると、アメリカの博士の方が圧倒的に優れています。
その大きな要因は「競争」にあります。アメリカではまず大学院に入る際、3倍ぐらいの厳しい選抜をくぐり抜け、さらに厳しい勉強で鍛えられドロップ アウト組が結構出ます。博士号を取れるのは半分ぐらいでしょうか。一方、日本の院は、誰でも入れて誰でも博士号を取れるといって過言ではない、ぬるま湯の ような状態です。入るときの倍率は0.7倍、そして入ってしまえば9割ぐらいは博士号を取ることができます。よく「日本の大学は入るのは難しいが出るのは 簡単」と言われてきましたが、今の大学院は入るのも出るのも簡単というわけです。こんなに違いのある人材を同列に並べ、数だけ問題にしたところで、何も解 決しません。

文系の場合、就職できないのは自己責任

――就職できないのは、コミュニケーション能力がないなど、院修了者本人に問題があるのだ、とする「自己責任論」も耳にします。

橋本 まず理系の話をします。自己責任論は間違いです。この問題は明らかに、就職という出口のことをきちんと 考えないまま、しかも学生たちには明るい希望があるかのように誘導した国策の誤りです。少子化が進む中、大学院生を増やすことで関連予算枠を守り、そして 自分たちの影響力を維持しようという文部科学省の「裏ミッション」だったのではないか。私が仕事で接する企業や研究者、他省庁の人たちからそんな話を聞く こともあります。

――文系についてはどうですか。

橋本 文系のケースでは全く逆で、就職できないのは自己責任だと思っています。文系で修士・博士課程をとって も就職が厳しい状況は以前から分かっていたことで、それが好転する見込みがない事も明らかでした。学部を卒業する際に就職が厳しい時期だったため、経済情 勢の好転を待って院へ進む、というパターンが結構あったと言われていますが、文系の場合はその議論は不毛です。その判断の結果責任は自分にあると言われて も仕方ない気がします。法科大学院の定員は新しい問題ですが、こちらは早くも大幅削減の見通しが報道されています。

――大学院生数が多すぎることの弊害は、当人たちの就職問題以外にもありますか。

橋本 日本の研究のクオリティが低下していきます。低競争の中に身を置いていると、トップの層の堕落も始まり ます。研究費がトップ層に十分に回らない可能性も出てきます。最近接した理系の大学生からは「博士課程にいくと人生終わる」と、博士課程に進んだ先輩を見 ての感想を聞かされました。こうした空気が広く蔓延するのは日本のためになりません。院生数の総枠削減と適正配置を真剣に検討すべきです。

2009年4月14日火曜日

合格者ゼロの事実を受け止めるにはかなりの心が必要ですよね・・・
理念、理想は高く持っていてもいいと思うんですが、それが実現しないとなるとただの空想で終わってしまうわけですし。
それを実現してこそ、その理念の意味があるわけですから。
弁護士の地方過疎問題に法科大学院の制度は一役買うことが出来るのか、それはまだ結果が出ない状況です。

◆法科大学院 理念の旗は掲げつつ(2009年4月9日 信濃毎日新聞)

 裁判官や検察官、弁護士を養成するための法科大学院が試練を迎えている。2004年に全国でスタートしたものの、新司法試験の合格率は年々下がり、3回目の昨年は33%に落ち込んだ。当初目標に遠く及ばない。
 「質」の低下を心配する声が、関係者の間に広がっている。
 10年ごろに年間合格者を3000人まで増やす-。これが国の方針だ。しかし思い通りになっていない。「質を維持しつつ、大幅な増加を図る」との考えは根本から見直しを迫られている。
 原因の一つとして、定員の多さが考えられる。法科大学院は全国に74校があり、総定員は約5800人だ。このうち仮に3000人が合格したとしても、合格率は当初目標の70-80%には届かない。絞り込みが必要だろう。
 こうした中、中央教育審議会の特別委員会は昨秋の中間まとめで、合格実績の低い法科大学院などに対して定員見直しや統廃合を検討するように求めた。
 この提案を、そのまま受け入れるわけにはいかない。地方の法科大学院がつぶされる可能性が大きくなるからだ。
 司法制度改革では「弁護士過疎」の解消も大きな柱になっている。大都市への集中がさらに進む恐れがある。定員を見直すなら、全国的なつり合いを考えて都市部から手をつけるべきだ。
 長野県内では、信大が05年4月に法科大学院を開設した。県弁護士会も弁護士を専任教員で派遣するなど支援している。
 定員は40人だ。ただ開設時のつまずきもあり、06年度から募集人員を自主的に30人に抑えてきた。信大は先ごろ、教育の充実に向けて定員を削減する方針を決めた。10年度入試から新定員で募集するという。
 3年課程で、昨春、初の修了生を送り出した。このうち19人が新司法試験に挑んだものの、合格者はゼロだった。合格者が出なかったのは全国で3校だ。
 残念な結果だけれど、旧司法試験時代から多くの合格者を出してきた都市部の大規模校とは違う。地域に根差した人材養成を掲げる信大の法科大学院を、もっともり立てなくてはならない。信大も学生もさらに努力して、地域の願いを実現してもらいたい。
 国も合格一辺倒では困る。バランス感覚に優れた多様な人材を育てる、というのが理念のはずだ。受験技術が優先されるようでは、改革の目的に背く。国民の期待に応えられない。

2009年3月22日日曜日

適性試験で足切り

合格率の低迷で今後の方針の見直しを行っている法科大学院に対して、中央教育審議会から
『入学試験者の下位15%を足切りに』という方針が提出された。
この入学試験と司法試験の相関関係はないとされているが、中央教育審議会はこの入学試験は重要だという意見。
とにかく合格率UP↑のために試行錯誤ですね。

◆法科大学院適性試験、下位15%門前払いへ…中教審特別委報告案
(2009年3月20日 読売新聞)

 法科大学院のあり方を検討している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別委
員会は19日、入学試験の際に行っている適性試験について、総受験者のうち最下位から
15%を目安に門前払いにすべきだとする報告案をまとめた。
 適性試験は、入学試験の際に小論文や面接とともに行われている。司法試験の成績との
間に相関関係はみられず、配点を下げる法科大学院が増えているが、思考力や分析力など
見るうえで重要だと指摘。受験者の下から15%程度は門前払いにすべきだとした。

2009年3月1日日曜日

教育機会の均等を

教育は平等に受けることができなくてはいけない!
とはいっても、地方と都心部ではなかなか同じようにはいきませんよね。
事実、東京には多くの学生が地方から来ていますし。

法科大学院も同じことで、地方より都心部という傾向はないとは言えません。
弁護士の過疎、偏在の問題を解決していくには地方の法科大学院へと学生を誘導し、地域で育て、とどまってもらうことをしていかないとですね。

◆法科大学院 (4)地方で深刻 統廃合の影(2009年2月14日 読売新聞)

 地方の小規模大学に法科大学院の統廃合の影が忍び寄る。
 通称「四国ロースクール」は香川大学(高松市)のキャンパスの一角にある。愛媛大学(松山市)と一緒に設けた全国唯一の連合法科大学院だ。豊島(てしま)の産業廃棄物不法投棄問題など、環境問題に縁の深い土地柄だけに、環境法に力を入れるなど、地域に根ざした法曹養成を掲げている。
 普段の授業が行われるのは香川大だ。松山から電車で移動するだけで約2時間半かかるため、憲法や行政法などを担当する愛媛大の教員5人は、授業のある日には高松に泊まる。愛媛大では夏休み、弁護士とともに法律相談の科目「リーガルクリニック」の集中講座を開く。
 香川大は四国の国立大で唯一の法学部を持つが、法律、政治、文学などを学ぶ愛媛大の法文学部は四国で最も歴史が古い。最初は双方が独自の道を模索したが、単独では教員確保も難しかった。
 だが、新司法試験合格者は2007年、08年ともに3人(受験者数は07年9人、08年21人)にとどまった。四国は弁護士過疎地域を抱え、弁護士数は4県で最多の愛媛でも116人、最少の徳島では60人にすぎない(08年3月現在)。
 法科大学院制度の狙いの一つに弁護士過疎の解消もあった。中山充・連合大学院研究科長は「地域に良い法曹を供給するため、2けたの合格が欠かせない」と力を込める。
  ◎
 昨年12月、連合大学院では、互いの授業を参観し合う期間を設け、問題点を指摘し合った。中旬には教授らが、合格者を多数輩出している首都圏の伝統校のカリキュラムを検討した。検討には1校3時間を超える例もあった。
 昨年9月には、5割を超える合格率を出している神戸大学を訪れ、教員の話を聞いた。
 さらに、連合大学院では、岡山、島根両大とともに、08年度からカリキュラムや成績評価システムの共同化での連携を進め、3大学院相互で授業参観もしてきた。
 カリキュラムや成績評価の「共同化」は、共同大学院の設置につながるとの見方もある。連合大学院が出す学位は最終的には、いずれかの大学のものになるが、昨年11月に制度が改正され、共同大学院として、複数の大学や大学院が連名で学位を授与できるようになった。
 共同大学院構想には、地理的に中間地点で、法曹養成でも実績のある岡山大が積極的だが、他大学は慎重だ。事実上の統廃合につながりかねないからだ。1月中旬、3大学の学長が岡山大に集まったが、共同大学院の設置問題には触れずじまいだった。
 愛媛大の小松正幸学長は「共同大学院になれば、四国に法科大学院は事実上なくなる。学生への負担が大きすぎる」と強く反対する。
 地方国立大の法科大学院には、弁護士会が支援基金を設けるなど、地元の威信もかかる。定員削減を求める声が高まる中、弁護士偏在解消や教育の機会均等の確保の観点も忘れるわけにはいかない。

 法科大学院の全国分布
 法科大学院74校(国立23、公立2、私立49)のうち、東
京都内(24校、定員2610)と近畿(15校、同1420)で定員のほぼ7割を占める。その他の学校数と定員は、北海道2校(130)、東北2校(150)、東京以外の関東8校(430)、中部11校(495)、中国4校(200)、四国1校(30)、九州・沖縄7校(330)。

2009年2月15日日曜日

学費で釣る?

実績、知名度等が低い大学院の現場は大荒れなようですね。
学びたくても金銭面で学べない優秀な人はいると思いますよ。
ただ、結構多くの人が授業料減額、免除となっていると、安さで学生を集めている印象になり、あまり良い感じしないんですけど・・・
それにしても、個室自習室にノートパソコン、家具つき寮なんて学生には贅沢過ぎる環境ですね。

◆法科大学院(3)学費支援 揺れる現場(2009年2月13日 読売新聞)

 法科大学院は学生をどう支援しているのか。
 定期試験が終わったばかりの今月4日、山梨学院大学法科大学院(甲府市)の自習室は学生で埋まっていた。1学年の定員が40、現学生数96人の同大学院では、24時間使える図書室に学生の人数分の自習机が確保されている。
 自習机のうち40は個室で、最上級生が優先的に使える。ノートパソコンは全員に無償貸与されている。しかも、徒歩3分の場所に家具付き、家賃2万円の寮があり、87人がこの恩恵に預かっている。
 さらに、成績優秀者には、初年度だと150万円になる学費を全額ないし半額免除とする制度がある。現在、全額は31人、半額は29人が対象だ。この学生たちは寮費も免除されている。加えて、大学院修了後も寮や自習室を使える仕組みも用意している。
 赤字は当然だが、「法曹養成で実績がないだけに、当初から、意欲や能力があるのに経済的に環境の厳しい学生を積極的に受け入れたいと考えた」(荒牧重人・法務研究科長)。
 面倒見のよさは、おおむね好評だ。北海道出身で、公務員を辞めて旧司法試験に挑んできた近藤徹さん(40)は「この大学院に入ることが最後のチャンスだと思った」、福岡県出身の下吹越淑子(しもひごしよしこ)さん(35)は「身ひとつで来て、安全な環境で学べるのがありがたい」と語る。「他の奨学金と合わせて経済面の心配はありません。後は自分がどう勉学に打ち込むかです」と東京出身の印南(いんなみ)真吾さん(31)。
 山梨学院では、1年目から「地域社会と法」といった授業を設けるなど、「地域にねざした法曹養成」を意識している。こうした姿勢と学生支援体制とが相まって、全国から集まった学生たちから、「山梨が好きになった」「もし、弁護士として開業するなら、候補地の一つ」という声もあがる。
  ◎
 2009年度から、法学の基本知識がある既修者コースの新入生全員に、入学金を含む学費(151万3000円)を全額免除する――。青山学院大学法科大学院(東京・渋谷)が事実上の学費無償化となる給付奨学金制度の導入を発表したのは昨年6月だった。
 1学年の定員は既修者20、未修者40。大学院には「優秀な既修者に未修者を刺激してほしい」(山崎敏彦・法務研究科長)という思いがあった。しかし、ふたを開けてみると、既修者コースへの志願者そのものが激減した。07年度168人、08年度104人に対し、09年度は17人。
 元々、既修者としての成績を厳格に見る選考をしてきた。合格者は07年度4人、08年度3人。09年度の合格者2人には、山崎研究科長自身も「未修者の手本になってほしい」と期待を伝えたが、入学手続きはされないままだ。
 高額な学費の大学院に、社会人などの幅広い層の学生を集めるには、充実した支援策は欠かせない。一方で、学費のディスカウントには「学生集めのためだ」という批判も出る。
さじ加減は極めて難しい。(中西茂、向井ゆう子)
 学費と奨学金 法科大学院の初年度納付金は国立が一律108万6000円、私立は150~160万円台が多いが、200万円を超える大学もある。2007年度で日本学生支援機構の貸与奨学金を在学生の約6割、約8200人が利用する。大半の大学が独自に学費減免制度や貸与奨学金を設けており、地元弁護士らが奨学金を設けた例もある。

2009年2月14日土曜日

定員割れとプライド

各大学で強い分野というか売りの分野ってありますよね。
法科大学院を設置している大学は70校にも上りますが、法科大学院設置以前の実績というのは何としても守りたいプライドですね。

世間での評価というのは数字ですから、何としても合格率を上げたいと各大学躍起になっていますが、本来の目的・本当の教育とかけ離れないように気を付けてもらいたいですね。

◆法科大学院 (2)数も質も 伝統校の模索(2009年2月12日 読売新聞)

 多数の法曹を輩出してきた伝統校も厳しい競争にさらされている。
 法科大学院の定員数には、各校のプライドがにじむ。東京大、早稲田大、中央大。1学年の定員が最大の300人を数える3校は「ビッグ・ロースクール」と呼ばれる。
 1月の夜。静まりかえった中大の市ヶ谷キャンパス(東京都新宿区)にある法科大学院の教室で、1年生9人が本田宗哉さん(36)の話に聞き入っていた。2005年度の修了生で、1年前に弁護士登録したばかり。実務講師として後進の指導にあたる。
 中大は、日本の法曹の5分の1、弁護士の4分の1を生み出してきた。そんな伝統校の売り物は、本田さんのような先輩12人が、課外で1年生の学修を支援する「フォローアップ演習」だ。
 中大は、法律の基本知識がある既修者コース200人、未修者コース100人を募集している。演習の対象である未修者の1年生の8割が受講。2週間に1回、2時間ずつ、1年生で学ぶ「民法」「刑法」など基本科目について、授業の進度に合わせ、疑問に答えたり、復習したりする。
 実際に新司法試験を突破した先輩の話を聞けるチャンスでもある。本田さんも演習後、学生と近くの中華料理店で懇談するのが恒例だ。学生の悩みや不安も受け止める。
 「勉強の仕方で相談にも乗ってもらえるし、法曹として活躍する話が聞けて励みになる」と受講者の白木規章さん(31)。本田さんも「母校に恩返しがしたかった。学生の姿を見て、仕事でくじけそうな時に、初心を思い出し勇気づけられる事もある」と言う。
 ◎
 早大法科大学院の入試は特徴的だ。書類選考の後、「携帯電話の学校持ち込み」「離婚調停」といった大学側が与える場面について、受験生一人一人と教授2人が議論する。法律知識は一切問わず、コミュニケーション能力と論理的思考力を見る。
 既修、未修ごとに定員を定めて募集していない。合格してから学内の認定試験で既修と判定されれば2年で卒業できるが、現実にはほとんどの学生が未修者だった。
 その早大が昨年12月、2011年度から既修者コースを設けると発表し、他大学を驚かせた。既修者を定員全体の半分程度にする。
 未修者コース修了生が初めて受験した07年の新司法試験。早大の合格者は115人で、東大の178人、中大153人に水をあけられた。合格者のうち既修者(浪人生を除く)は8人で、東大では115人、中大では89人が既修者だったのと対照的だった。
 早大の教務主任、古谷修一教授(50)は「一般に流布するのは合格者の数。早稲田は通りにくいと受験生に敬遠されてしまう」と心配する。
 だが、大学が既修者に力を注ぎすぎれば、多様な人材が法曹を目指すという制度の理念が揺らぐ。早大の入試合格者に占める社会人の割合は、04年度35・6%だったが、09年度には14・7%に減った。
 合格者数だけに目を向けると「質」を見失いかねない。
 定員と志願倍率 法科大学院制度が発足した2004年度は68校で総定員は5590。入学者数は定員を177人上回った。しかし、74校になった翌年度以降は定員割れが続き、08年度の総定員5795に対し、入学者は398人少ない。最小規模は定員30で10校ある。04年度に7万2800人だった志願者数は、08年度は3万9555人まで落ち込んだ。

2009年2月13日金曜日

教育と試験は別物?

質の良い教育と試験の点数や合格率が一致していればいいんですが・・・
法科大学院の理想は、より実践的な力を養いつつ、司法試験に合格するということでしたが、合格率が何とも低い。
教育の内容も各大学院によってかなりの差があるようですし、うまくいっているところから学ぶということで少しは改善できるのではないでしょうか?

◆法科大学院(1)理想の教育 合格率の現実(2009年2月11日 読売新聞)

 法科大学院制度が、理想と現実のはざまで揺れている。
 「異議あり! 誘導です」と弁護人席から声が飛ぶ。「記憶を喚起するためです」と検察官席。両者にらみ合いの後、裁判官役が「尋問の方法を変えて下さい」と促した。
 大宮法科大学院(さいたま市)の法廷教室で昨年12月に行われた模擬法廷授業。弁護士の黒田純吉教授(59)が担当する「刑事訴訟実務」の講義だ。2年生10人が参加し、殺人未遂事件の裁判を3者に分かれて熱演した。ホワイトボードに図を描いて位置関係を説明し、おもちゃの包丁で犯行を再現するなど、裁判員制度も意識した。「3日間練習したけど思ったようには進まなかった。もう1回やってみたい」と検察官役の小泉真知子さん(28)。
 1週間前には、婦女暴行事件の公判記録と刑事訴訟法の条文を基に、弁護人がどんな場面で異議申し立てを行っているのか、裁判官がどんな状況で申し立てを認めるのかを学んだ。
 裁判で問われるのは、法律という道具を使って問題を解決する力。授業でも、尋問の「技術」ではなく、実際の裁判で問われる「思考力」を磨こうとしているのだという。

 ◎
 大宮法科大学院は2004年、埼玉県で小学校から大学まで運営する学校法人佐藤栄(さとえ)学園が、第2東京弁護士会(東京都)と提携して開学した。
 合言葉は「弁護士が弁護士を育てる」。法科大学院は、専任教員の3割程度以上を実務経験のある教員とする規定があるが、大宮では、30人のうち18人が現役の弁護士。このうち16人は第2東京弁護士会所属だ。
 法科大学院には、既修者コースと未修者コースがあるが、大宮には、法律の基本知識があって2年で終える既修者コースはなく、基本から3年間学ぶ未修者コースだけだ。社会人向けに夜間コースにも力を入れる。
 法科大学院では、弁護士の指導を受けながら、実際の事件を請け負って訴訟実務を学ぶ科目「リーガル・クリニック」もある。大宮では特に、年間を通して、希望者全員が受講できる。さいたま市で開業していた萩原猛弁護士(53)(教授)が学内に法律事務所を開いて常駐しているからだ。他の教授陣もかかわって実際の訴訟手続きを行っており、刑事事件だけでも、年間約30件のうち3分の1に学生がかかわる。
 こうした特徴から、大宮は「法科大学院の精神を最も忠実に表した大学院だ」と説明する。
 ◎
 だが司法試験合格率という現実がある。1期生97人のうち3年での修了生は64人で、07年には43人が受験し、合格者は6人にとどまった。08年の合格者は16人と伸びたが、合格率では74校ある法科大学院の中で42位だった。
 設立構想時に、第2東京弁護士会長として深くかかわった久保利英明教授(64)は、「大宮の司法試験合格者は学校の成績上位者。授業でしっかりと学ぶことが司法試験対策になっている」と断言する。「未修者コースの修了者は、今年1月に法曹として働き始めたばかり。人間的にも優れた法曹を育てている自信がある。長い目で判断してほしい」 法科大学院協会、文部科学省と法曹三者は、法科大学院の成績と新司法試験の合格率の相関性も調べている。
 腰を据えて理想の行く末を見届けるか、不合格者が積み重なる現実を危機ととらえるか。関係者の意見は分かれる。法科大学院制度が岐路に立たされていることは間違いない。
 既修者コースと未修者コース 憲法、刑事法、民事法など、法学の基礎を修得済みと法科大学院が認定した場合、既修者コースとなる。未修者とコースを分けている大学院が多い。既修者は、法学部出身や旧司法試験対策を行ってきた学生が主で、現状では新試験突破にも有利とされる。

9割が「定員削減含め検討」
 法科大学院は、裁判員制度とともに、政府が推進する司法制度改革の柱の一つ。米国のロースクールをモデルに2004年に誕生した。10年までに新司法試験合格者を3000人に増やすという02年の閣議決定と連動している。
 合格率2~3%の超難関で知られる旧司法試験が知識を問う暗記型だったことの反省から試験内容も見直し、法科大学院には、広く法曹への門戸を開き、法学部以外の出身者や社会人を入学者の3割以上とすることを求めた。
 現在の総定員は74校で5795人にまで膨らんだ。その結果、当初7~8割とされていた修了者の新司法試験合格率は3~4割と低迷を続けている。このため、文部科学省の中央教育審議会は昨年9月、各校の定員削減に言及する報告を、日本弁護士連合会も今年1月、定員削減や統廃合を求める提言をまとめた。文科省が昨年12月までに実施した各校へのヒアリングでは、9割の法科大学院が「定員削減を含めて検討中」と答えた。国立は1~2割減の方向で検討しているとされる。

2009年1月18日日曜日

地方で育てるということの意味

地方で一定数の数の弁護士を育てて弁護士の地方過疎をなくそうというのが大きな狙いとしてあった法科大学院ですが、実際には都会の名門校からの合格が多いのは事実ですし、無理して授業を行っている結果、学習の環境は十分でないという評価もされている以上無理やり地方でという考えやめた方がいいのでは?
地方で育ったから地方にいるという考えだってちょっと甘いですし。
そんなに愛着もてるんだったらこんなにも若者は都会目指して上京してきませんよ。

◆法科大学院:教員足りず質低下 乱立で合格率低迷(2009年1月8日 毎日新聞)

 訴訟社会の到来を見越して法曹人口を増やそうと設置された法科大学院が、定員の見直しや再編を迫られている。7~8割を目指した新司法試験の合格率が3割程度に低迷しているからだ。背景として、法科大学院自体の乱立による質の低下が指摘されている。裁判員裁判などの司法制度改革を控え、危機感を抱いた国は少数精鋭化に向けた定員削減を求めた。各校は2月以降、10年度の新定員を順次発表する予定だ。

 ◇学校間格差も顕著
 「修了者の7~8割が合格するという話を信じたが、現実は違った」。新試験に3回挑戦し、いずれも不合格だった埼玉県の40代の男性は肩を落とした。
 法学部生時代から法曹を目指し、旧試験も十数回受験した。あきらめきれず、04年に新設された東京都内の法科大学院に進んだ。だが、新試験には「法科大学院修了後、5年で3回」という受験制限があり、昨年9月の3回目の失敗で受験資格を失った。
 新試験の合格者は、初年の06年1009人(合格率48%)▽07年1851人(同40%)▽08年2065人(同33%)で、合格率は予想を大きく下回った。
 政府は02年、司法制度改革審議会の意見を踏まえ、年1000人程度の合格者を、10年までに年3000人程度に増やすことを閣議決定した。法務省幹部は「試験の成績をみる限り、目標実現は簡単ではない」と認める。
 一握りの上位校と下位校の実力差も歴然だ。合格率別学校数は60%台が1校(一橋大)、50%台が4校だったのに対し、10%台は21校、10%未満は9校、ゼロも3校あった。合格者数でみても、東京、中央、慶応、早稲田、京都の上位5校が全体の4割を占めた。
 当初想定された法科大学院の総定員は4000人程度。しかし、多くの大学が学生を呼び込む経営戦略の看板と位置づけたため、設立された法科大学院は74校に上り、総定員は約5800人に膨れ上がった。その結果、学生の質の維持が難しくなり、専任教員や実務家教員として期待された現職の検事や弁護士、裁判官は不足した。
 新司法試験に合格した司法修習生の実力低下も問題になった。08年には1年間の修習終了後の卒業試験で全体の6%に当たる113人が不合格になった。不合格者は翌年の試験まで事実上留年を余儀なくされる。最高裁は「実力にばらつきがあり下位層の数が増加している」と指摘した。

 ◇定員削減で改善へ
 国が念頭に置く法科大学院の改善策は、総定員削減と修了認定厳格化、学校間の連携などだ。少数精鋭化し、優秀な教員を効率的に配置することを目指す。
 昨年の文部科学省のヒアリングによると、19校が10年度入試から実際に定員を削減し、49校が定員見直しを検討すると回答した。しかし、文科省は納得せず、先月には事実上全校に定員削減を迫る通知を出した。
 中央教育審議会の法科大学院特別委員会も昨年9月、修了認定の厳格化▽適正な専任教員確保▽学校間の教育課程の共同実施などを提言した。
 こうした国の方針を受け、法科大学院側も改革に乗りだした。
 合格者が3年で1人だけだった姫路独協大(兵庫県姫路市)は、09年度から40人の定員を10人減らすことを決めた。島根、岡山、香川の3大学は、それぞれの法科大学院の共同運営を模索する。当面は共通講義を開くなどして、教員の質の維持や学生の競争意識の喚起を図る。合格者総数が8人にとどまっている島根大法科大学院の三宅孝之研究科長は「弁護士の偏在を解消するためにも、地方で一定の数を養成する必要がある。そのためには時代に応じた変容も大切」と話している。

2009年1月7日水曜日

中央省庁でインターンシップ

一部の大学ではすでに行われているそうだが、
今後の優秀な人材の確保に向けて中央省庁は法科大学院生を対象にインターンシップを行うとのこと。

法曹関係に興味を持っていても就職が困難な現状から考えると、
この制度に参加することで学生の進路が多少広がり良い方向に向くのではないだろうか。

◆霞が関に来れ、法科大院生 中央省庁で就業体験実施(東京新聞 2009年1月4日)

 人事院は4日、法科大学院生を対象とした中央省庁でのインターンシップ(就業体験)
を2009年度から実施することを決めた。司法制度改革による弁護士の急増で、法曹資
格を取っても法律事務所などの就職先が見つからない現状を背景に、法科大学院生を霞が
関に呼び込む狙いだ。
 中央省庁での就業体験は、政策立案能力の育成を目的に一部の大学が設置している公共
政策大学院を対象にすでに行われている。法科大学院生を受け入れる省庁や人数、期間な
ど詳細は未定だが、夏ごろに数週間、10数人程度を想定。実際の法案作成の作業実習な
どを検討している。
 人事院は「司法試験と国家公務員1種試験を両方受験する人もいる。公務員にも関心を
持ちながら法科大学院に進んだ学生もいるはず」と期待。新司法試験の合格率が低迷する
中で、少しでも多くの進路を確保しておきたい大学院側の思惑とも一致し、すでに複数の
大学院が院生の派遣を承諾しているという。