2013年7月29日月曜日

法科大学院、何が問題になっているの?

政府の見通しの甘さは、いまに始まった事ではないですがなんでもアメリカの真似をすれば良いってもんでもないという良い見本ですね。
アメリカとは人口も経済も文化も何もかも違うのですから、日本は日本の道を歩んでいくしかないと思います。

◆法科大学院、何が問題になっているの?(THE PAGE 7月24日)

法科大学院の志願者数

 かつて司法制度改革の柱のひとつとして創設された法科大学院が、入学定員割れに苦しんでいます。2013年度の全国の法科大学院志願者は1万3924人。制度が発足した2004年度の志願者数(7万2800人)の2割に満たない数字です。

 こうした状況を受け、東北学院大、大阪学院大が2014年度からの募集停止を決めたほか、龍谷大も2015年度以降の募集停止を検討中です(産経新聞7/8付)。いま、法科大学院に何が起きているのでしょうか。
司法制度改革の目玉だった

 法科大学院は、2001年に司法制度改革審議会が内閣に提出した意見書をきっかけに生まれました。同審議会は、「今後、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要がますます多様化・高度化する」と予測。増大する需要に応えるため、当時は年間1000人程度だった司法試験合格者数を、2010年頃までに年間3000人程度に増やすべきだと提言しました。

 これを受けて、政府は司法試験制度の刷新に着手。法律家養成に特化した教育機関として法科大学院を創設し、その教育内容を踏まえた「新司法試験」を2006年度からスタートさせました。6年間の移行期間を経て、2012年に新司法試験への切り替えが完了しています。

 新司法試験は従来の司法試験と異なり、法科大学院を修了するか、もしくは司法試験予備試験に合格しなければ受験できません。これにより、法律家をめざす人は原則として法科大学院に入学することになりました。法科大学院には、質の高い人材を法曹界に安定して送り出す役割が期待されていたのです。
司法試験の合格率は約25%

 前述の意見書は、法科大学院修了者の約7~8割が司法試験に合格すると見込んでいました。しかし現実には、新司法試験の単年度合格率は2006年度の48.25%をピークに下がり続け、2012年度は25.06%となっています。

 その背景には、法科大学院の乱立があります。全国の法科大学院は74校。学校による教育水準の格差は大きく、教育内容に課題のある法科大学院も数多くあるとみられます。

 司法試験は、法科大学院を修了した後、3回までしか受験できません。そのうえ合格率が低いとなれば、入学に二の足を踏む人が増えるのも当然といえるでしょう。

 また、法律家の需要がかつて想定したほど増えなかったことも、制度設計の誤算でした。近年の司法試験合格者数は2000~2100人程度で推移しており、目標としていた3000人には及ばないものの、10年前と比較するとほぼ倍増しています。その結果、司法試験に合格しながらも弁護士事務所などに就職できないといったケースが急増しています。

 こうした現状を踏まえ、2013年6月26日、有識者でつくる法曹養成制度検討会議は、法科大学院に自主的な定員削減や統廃合を求めることを提言。7月16日、政府はこれを了承し、「年間3000人程度の司法試験合格をめざす」という目標を正式に撤回しました。

 制度設計から10年以上の歳月が過ぎ、ようやく行われた政策転換。今後、法科大学院のあり方については、文部科学省の中央教育審議会に設置された法科大学院特別委員会で検討されることになります。

2013年7月16日火曜日

「合格3000人」撤回を決定=司法試験見直し―閣僚会議

 合否のラインを、人数で決めてしまうのには疑問を持ちます。
合格基準(点数)を定めて、達していれば合格、届かなければ不合格とシンプルな考え方ではダメなのでしょうか?

◆「合格3000人」撤回を決定=司法試験見直し―閣僚会議

時事通信 7月16日

 政府の「法曹養成制度関係閣僚会議」(議長・菅義偉官房長官)は16日午前、首相官邸で会合を開き、司法試験や法科大学院の在り方に関して先に下部組織がまとめた最終報告の内容を、政府の改革方針として決定した。司法試験合格者を年間3000人程度とする政府目標を撤回し、実績が乏しい法科大学院に定員削減や統廃合を促すことが柱だ。
 菅長官は会合で「法曹を目指す有為な若者のためにもスピード感を持って各施策を推進、検討してほしい」と述べた。
 改革方針を具体化するため、政府は8月に内閣官房に担当室を設置する。日本社会にふさわしい法曹人口を提言するための調査や、統廃合などが進まない法科大学院に対する強制的な「法的措置」の検討を2年かけて行う。
 改革方針のうち、司法試験の見直しに関しては、来年の通常国会への司法試験法改正案の提出を視野に作業を進める。現在は5年で3回までの受験制限を5回までに緩和することや、7分野から出題されている短答式試験の内容を、憲法、民法、刑法の3分野に絞り込む方針だ。

2013年7月9日火曜日

司法試験合格率4%…龍谷大の法科大学院、募集停止へ

何人の人がこの制度によって振り回されたのでしょうか?
こうなると、法科大学院制度は完全に失敗でしたね。
予備試験合格者が合格率100%に対して、4.5%ではあってもしょうがないですものね。

◆司法試験合格率4%…龍谷大の法科大学院、募集停止へ

産経新聞 7月8日

 龍谷大(京都市伏見区)が、法科大学院の募集を平成27年度以降、停止する方向で検討を始めた。入学者の定員割れ傾向が改善しないことなどが理由で、今年度中に結論を出すという。現在募集中の26年度入試は予定通り行う。

 同大によると、6月中旬の評議会で募集停止の方向で検討することを決めた。今後、評議会の結論を受けて法人理事会で審議し、正式決定する。

 同大の法科大学院は17年に開設。当初の定員は60人で、22年に30人、23年には25人に削減したが、今年の入学者は15人だった。今年5月現在で約60人が在籍。24年度の新司法試験合格率は4・5%だった。

 法科大学院をめぐっては明治学院大などが、すでに募集を停止。国立大でも、島根大が募集を停止することを決めた。

2013年7月5日金曜日

覚醒剤、知らずに「運び屋」… 密輸事件に相次ぐ「無罪」

覚醒剤の密輸では、死刑になる国もあります。
何もしらない観光客が騙されて犯人にしたてあげられる事もあるそうです。
日本の常識が通じない事もありますので、海外旅行の際には、十分気をつけましょう。

◆覚醒剤、知らずに「運び屋」… 密輸事件に相次ぐ「無罪」 (産経新聞 7月4日)

 覚醒剤密輸事件の裁判員裁判で無罪判決が相次いでおり、最高検は全国の検察庁に「分かりやすく厳密な立証を」と注意喚起した。「覚醒剤と知らずに運び屋にされた」という趣旨の被告側主張が受け入れられるケースが目立っている。裁判員制度を検討する法務省の検討会は先月21日に、覚せい剤取締法違反事件を裁判員裁判の対象外としないと結論づけており、捜査当局には緻密な捜査と立証が求められている。

【グラフで見る】覚醒剤の摘発件数と押収総量の推移

 「密輸の故意があったと認めるには、常識に照らして疑いが残る」

 5月29日、覚醒剤約7・9キロ(末端価格約6億3千万円)をウガンダから関西国際空港に密輸したとして覚せい剤取締法違反(営利目的密輸)罪などに問われた女性(28)の裁判員裁判の判決で、大阪地裁は無罪を言い渡した。

 女性は、スーツケース内のコーヒー豆の袋から覚醒剤が見つかり、起訴されたが、判決は「一緒に渡航した交際相手のウガンダ人が自分の荷造りをした」という女性の証言を重視。「密売組織に運び役として利用された可能性がある」と故意の密輸を否定した。

 最高裁によると、裁判員裁判で今年3月末までに27人に無罪判決が言い渡されたが、そのうち4割を超える12人が覚醒剤密輸事件だ。5月にも大阪、東京両地裁で1人ずつ無罪判決が出た。ほとんどが、海外で知人から渡された手荷物について「中身は知らなかった」という主張が認められるケースだ。

 事態を重くみた最高検は、昨年4月に最高検検事らで構成される内部委員会「覚醒剤密輸入事件の捜査公判立証の在り方検討会」を立ち上げ、判例などを検証して立証の注意点をまとめ、今年4月までに各地検に周知した。

 関係者によると、航空運賃や宿泊代を知人側に負担してもらっている▽渡航目的があいまい▽日程が極端に短い-などの不審点を積み重ね、丁寧に説明することなどを求めている。

 一方、荷物の中から覚醒剤が見つかっても、持ち主が覚醒剤を持っていると認識していたかどうかを明確に証明できなければ、起訴を見送る判断も必要だとしているという。

 覚醒剤の認識が争点となった密輸事件を担当した大阪府内の裁判員経験者は「被告は黙秘だったが、メールなどの客観証拠があり有罪と判断できた」と話す。ある検察幹部は「覚醒剤の密輸は裁判員にとって未知の世界。市民感覚で判断できるような説明を心がけなければいけない」と話している。