2013年7月5日金曜日

覚醒剤、知らずに「運び屋」… 密輸事件に相次ぐ「無罪」

覚醒剤の密輸では、死刑になる国もあります。
何もしらない観光客が騙されて犯人にしたてあげられる事もあるそうです。
日本の常識が通じない事もありますので、海外旅行の際には、十分気をつけましょう。

◆覚醒剤、知らずに「運び屋」… 密輸事件に相次ぐ「無罪」 (産経新聞 7月4日)

 覚醒剤密輸事件の裁判員裁判で無罪判決が相次いでおり、最高検は全国の検察庁に「分かりやすく厳密な立証を」と注意喚起した。「覚醒剤と知らずに運び屋にされた」という趣旨の被告側主張が受け入れられるケースが目立っている。裁判員制度を検討する法務省の検討会は先月21日に、覚せい剤取締法違反事件を裁判員裁判の対象外としないと結論づけており、捜査当局には緻密な捜査と立証が求められている。

【グラフで見る】覚醒剤の摘発件数と押収総量の推移

 「密輸の故意があったと認めるには、常識に照らして疑いが残る」

 5月29日、覚醒剤約7・9キロ(末端価格約6億3千万円)をウガンダから関西国際空港に密輸したとして覚せい剤取締法違反(営利目的密輸)罪などに問われた女性(28)の裁判員裁判の判決で、大阪地裁は無罪を言い渡した。

 女性は、スーツケース内のコーヒー豆の袋から覚醒剤が見つかり、起訴されたが、判決は「一緒に渡航した交際相手のウガンダ人が自分の荷造りをした」という女性の証言を重視。「密売組織に運び役として利用された可能性がある」と故意の密輸を否定した。

 最高裁によると、裁判員裁判で今年3月末までに27人に無罪判決が言い渡されたが、そのうち4割を超える12人が覚醒剤密輸事件だ。5月にも大阪、東京両地裁で1人ずつ無罪判決が出た。ほとんどが、海外で知人から渡された手荷物について「中身は知らなかった」という主張が認められるケースだ。

 事態を重くみた最高検は、昨年4月に最高検検事らで構成される内部委員会「覚醒剤密輸入事件の捜査公判立証の在り方検討会」を立ち上げ、判例などを検証して立証の注意点をまとめ、今年4月までに各地検に周知した。

 関係者によると、航空運賃や宿泊代を知人側に負担してもらっている▽渡航目的があいまい▽日程が極端に短い-などの不審点を積み重ね、丁寧に説明することなどを求めている。

 一方、荷物の中から覚醒剤が見つかっても、持ち主が覚醒剤を持っていると認識していたかどうかを明確に証明できなければ、起訴を見送る判断も必要だとしているという。

 覚醒剤の認識が争点となった密輸事件を担当した大阪府内の裁判員経験者は「被告は黙秘だったが、メールなどの客観証拠があり有罪と判断できた」と話す。ある検察幹部は「覚醒剤の密輸は裁判員にとって未知の世界。市民感覚で判断できるような説明を心がけなければいけない」と話している。