2009年9月29日火曜日

571人が受験資格失う・・・

何度でも挑戦してはいけないんでしょうか?
回数を限定することの意味は一体何なんでしょうか?
法科大学院で学べることの多くをすぐに使ってほしいってことで司法試験の受験期間や回数に制限を設けているのかもしれませんが、法科大学院の環境やレベルが整っていない今、それは関係ないでしょうに。
もう、新司法試験を受けられなくなった600人近い人たちはどんな気持ちでいるんでしょうか。

◆多すぎた法科大学院…新司法試験、崩れた構想(2009年9月23日 読売新聞)

 法科大学院の修了生を対象にした新司法試験の合格率が低迷している。
 4回目となった今年の合格者数は2043人で、初めて前年割れとなり、合格率も27・64%と3割を切った。法科大学院で充実した教育を行い、修了生の7~8割が合格できる――。そんな当初の構想は崩壊し、受験生たちからは「国による詐欺だ」との声も漏れる。なぜ、新司法試験の合格率はこれほどまでに低いのか。

 ◆受験資格◆
 「幅広い人材を法曹にとの理念はどうなったのか」
 合格発表があった今月10日。愛知県内の受験生の男性(26)は、その低い合格率に衝撃を受けた。自身も2回目の挑戦だったが、不合格。新試験は5年間で3回不合格だと受験資格を失うため、次がラストチャンスになる。
 大学で美術を学んだが、法曹界が幅広い人材を求めていると知り、受験勉強をして、法科大学院の法学部以外の出身者を受け入れるコース(未修者コース)に入った。勉強のためアルバイトはできず奨学金を受けた。今後約700万円を返さなければならない。「次の試験に失敗したら、その後、別の仕事を探せるだろうか」と不安は募る。
 中国地方の法科大学院の教授は、未修者コースを修了した30代の教え子が3回目の受験に失敗し、受験資格を失った。「不況の上、年齢も高いこともあり就職も難しい。学校も支援するが、今後同様の修了生が増えたらサポートしきれるか……」と頭を抱える。

 ◆過剰定員◆
 「法科大学院の数が多すぎて、定員数が膨れあがってしまった」。ある法務省幹部は合格率の低さの原因をそう解説する。
 法科大学院と新司法試験は、幅広い見識を持つ法曹を数多く養成するという司法制度改革の一環で生まれた。国が掲げた目標は、2010年頃までに司法試験の年間合格者数を3000人へ引き上げるというもの。新司法試験は、知識詰め込み型の勉強が必要とされた旧司法試験と比べ思考力重視の内容とし、法科大学院は修了者の7~8割が新試験に合格できるような教育を行うこととされた。
 当初、適度な学校数と考えられていたのは20~30校。ところが、実際には74校が乱立し、定員は約5800人に膨れた。今年の試験に失敗した結果、受験資格を失った人は571人。関係者からは「就職困難な人を毎年大量に生み出すのは社会問題」との声もあがる。

 ◆教育の質◆
 14日開かれた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の法科大学院特別委員会。特に今回の試験で、法学部出身者(既修者)より未修者の合格率が約20ポイントも低かった結果を受け、「合格の基準が未修者をすくい上げるものになっていないのでは」との指摘が相次いだ。だが司法試験を所管する法務省は、「既修者と未修者で合格ラインを変えるわけにはいかない」と言う。
 一方、司法試験合格後、司法修習生となった人が法曹資格を得るために受ける卒業試験でも、不合格者数が増えている。不合格となった法科大学院出身者の答案には、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則などを理解していないものもあり、法科大学院の教育の質も問われている。
 新司法試験の合格率の低さから、すでに法曹を目指す人は減り始め、半分以上の学校で入試の競争倍率が2倍を切った。各校はようやく定員削減に乗り出し、来年の入学者の総定員は4900人程度になる見通しだ。しかし、青山学院大法科大学院の宮沢節生教授は「定員削減はまだ不十分。現状を放置すれば法曹志望者は今後も減り、特に未修者が遠ざかって、多様な法曹を養成できなくなってしまう」と指摘している。

 ◆新司法試験=2004年以降に開校した法科大学院の修了生を対象とし、毎年5月に実施。法学部出身者向けの既修者コース(2年制)修了生は06年から、他学部出身者や社会人向けの未修者コース(3年制)修了生は07年から受験している。合格率が3%前後と難関だった旧司法試験も10年までは存続する。

2009年9月18日金曜日

政府の責任はないの?

合格率が低いってことだけを責めても仕方ないでしょうから、何かしらの改善策を一緒に考えないと。
少しずつでしょうが、対策を取っているのに年々下がってきているってことは、根本のところで何かがズレている可能性もありますよね。
法科大学院の行き過ぎたところは曖昧ではなく、 ビシっと話すべきですし。

◆法相「合格率低い」 法科大学院に苦言(9月11日 産経新聞)
  森英介法相は11日の閣議後会見で、10日に発表された今年の新司法試験結果について、「合格者が昨年より下回り、合格率が極めて低い法科大学院がある ことは事実。法曹に必要な能力、学識を備えた修了生を養成するという目的を十全に果たしていない。改善に一層取り組んでいただきたい」と述べた。

 また、合格者数が法務省の示した目安を大幅に下回り、平成22年ごろに合格者数を3千人とした政府目標の実現が厳しくなったことについて「目標をこの時 点で変更する必要性は感じていない。目標達成が容易でないことは明らかだが、引き続き、それに近づく努力をすることが妥当だ」とも話した。

 制度設計時の想定を越える法科大学院の数(74校)については、「国から数を減らせとか言える筋合いではない。それぞれの大学の自主的な判断によらなければいけない」とした。