2013年10月16日水曜日

地に落ちた「元日弁連常務理事」の肩書 総額50億円!?大物弁護士が加担した架空土地取引グループの悪行とは

なにを信じればいいのかわからない世の中ですね。
弁護士も職業柄、不祥事は大きく取り扱われる事が多いのですがこれは酷すぎます。
弁護士全体のイメージも信用も地に落ちる事態ですね。

弁護士を目指して、頑張っておられる方々も可哀想です。



地に落ちた「元日弁連常務理事」の肩書 総額50億円!?大物弁護士が加担した架空土地取引グループの悪行とは
産経新聞 10月15日

 弁護士の肩書を悪用した犯罪に、日本弁護士連合会常務理事を務めた大物弁護士が手を染めていた-。国有地の架空取引を持ちかけて住宅販売会社から約2億2千万円を詐取したとして、東京都渋谷区のコンサルティング会社役員、中原利浩容疑者(50)と、千葉県市川市の弁護士、本田洋司容疑者(80)ら6人が3日、警視庁捜査2課に詐欺容疑で逮捕された。本田容疑者の弁護士事務所を舞台に相手を信用させ、同様の手口で50億円以上を手に入れたとみられる。「正義感が強かった」という本田容疑者が加わった詐欺グループの、正義感のかけらもない悪行とは…。

■国の代理人名乗り、取引にお墨付き…「まさか嘘つくとは」
「国側の代理人の弁護士です」

 年の瀬も迫り、街中が慌ただしさを増した平成23年12月上旬。JR東京駅から徒歩約10分の距離にある中央区のビル9階の弁護士事務所応接室。住宅販売会社「セキスイハイム東海」(浜松市)の社員の前に弁護士バッジを胸につけた男性が現れ、こう名乗った。

 高齢で白髪が目立つが、背が高く眼光鋭いこの男が本田容疑者だった。この日は、中原容疑者らの詐欺グループがセキスイ社側に持ちかけていた不動産取引の仮契約を結ぶ予定で、本田容疑者は「立会人」として参加していた。

 財務省が管理する静岡県内の国有地2カ所を、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)を仲介させることで安く購入できるという触れ込みだったため、セキスイ社側は取引に応じた。

 契約書にはRFO理事長の印鑑も押されており、本田容疑者は「間違いなくこの取引は正式なものだ」とお墨付きを与えた。セキスイ社側はその場で、購入代金の一部、2000万円を本田容疑者に渡した。

 さらに、セキスイ社の社員は都内の高級ホテルに招かれ、「RFOとのパイプがある」という中原容疑者と会い、小切手や仲介手数料を支払った。

 総額約2億2000万円に上る契約に、セキスイ社は当時、何の疑いも挟まなかったという。同社は「まさか弁護士が嘘をつくなんて思ってもみなかった」という。

■RFOに問い合わせ30件…「口外するな」「違約金取る」脅迫も
期日を過ぎても、契約が履行される気配はない。不審に思ったセキスイ社がRFOに連絡したところ、契約書の印影は偽造されたもので、取引自体も架空であることが判明。ようやく被害に気づいたセキスイ社が今年1月に告訴し、中原、本田両容疑者ら6人が警視庁に逮捕された。

 RFOには22年9月ごろから、財務省や日本郵政の土地や建物の取引で、RFOが仲介しているのかという問い合わせが30件以上寄せられている。RFOは国有地の売買には一切関与しておらず、「年金福祉施設などの譲渡や廃止を行うわれわれの業務内容に着目して、悪用したのでないか」と推測する。

 実際の印影は四角だったが、中原容疑者らの詐欺グループが偽造した印影は丸形で、大きさも異なるなどずさんな手口だった。

 RFOへの問い合わせ段階で大半は虚偽の取引であることが判明し、被害を防げているが、RFOによると、「契約書の内容を第三者に口外しないように求めたり、違反した場合に違約金を取ると脅したりして、問い合わせできずに欺されたケースもあるようだ」という。

 RFOはホームページ上で、「RFOを介して他社が保有する物件を随意契約で購入できるとの偽情報が流布されている。年金福祉施設などの物件以外を譲渡することはない」と警鐘を鳴らしている。

■「納得できる説明なし」…民事でも「詐欺」認定、2千万円の賠償命令も
「全く詐欺事件ではない」と容疑を否認しているという本田容疑者。逮捕前の産経新聞の取材にも、「国有財産の処分権者は財務省。同省がRFOの名前を使って資産売却をしており、正当な取引で詐欺ではない」と抗弁していた。

 本田容疑者は長崎県出身。昭和26年に県立高校を卒業後、長崎家裁の職員に。その後、最高裁第1小法廷書記官などを務め、45年に退官した。その間に中央大学法学部を卒業し、司法試験に合格。47年に弁護士登録し、第2東京弁護士会に所属していた。

 弁護士としては民暴対策委員長や第2東京弁護士会副会長、日本弁護士連合会常務理事などの要職を歴任した。「正義感が強い人だったのに…」。本田容疑者を知る関係者は今回の逮捕に驚きを隠さない。

 捜査幹部は「弁護士という信用性が極めて高い肩書を悪用しなければ、ここまでの犯行を重ねることはできなかった」と指摘。その上で、「これまでの言い分を聞いても納得できる説明がない。弁護士がなぜ詐欺グループの片棒を担ぐようになったのか。実態を解明したい」と意気込む。

 本田容疑者らは逮捕容疑以外にも、同様の土地の架空取引をめぐって民事訴訟を起こされるなど多数のトラブルを抱えている。

 日本郵政の宿舎の売買をめぐり、横浜市内の不動産業者が起こした訴訟では、東京地裁がこの売買を「詐欺行為」と認定し、本田容疑者らに約2千万円の賠償を命じる判決を出した。裁判長は同じ法曹界に身を置く立場から、本田容疑者を厳しく非難した。

 「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士であるにもかからず、(詐欺)取引に関与した責任は極めて重い」

 本田容疑者はどう感じ取ったのだろうか。判決を不服として控訴している。