2012年11月5日月曜日

住吉会会長、300万円で和解 使用者責任回避か 配下組長めぐる訴訟

組の名前が入った名刺なんか渡したら脅しに取られるのは当たり前ですよね。
何も知らなかったのか、それとも、元々暴力団を辞めるつもりで行ったことなのか?
真相はよくわかりませんが、やはりこういう人はすぐに破門になるんですね。
しかし、暴力団のトップを訴えるとは、弁護士さんの勇気には脱帽です。


住吉会会長、300万円で和解 使用者責任回避か 配下組長めぐる訴訟(産経新聞 11月5日)

 建設会社との間で仕事上のトラブルを抱えた男性から仲裁交渉を委託された弁護士が、指定暴力団住吉会系の組長に交渉を妨害されたとして、住吉会トップの福田晴瞭会長(69)を相手取り1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、福田会長側が300万円を支払うことで和解が成立していたことが4日、分かった。福田会長の代理人は産経新聞の取材に「(暴力団トップの)使用者責任を問う近年の流れもあり、円満に解決するため和解した」としており、使用者責任回避のための和解とみられる。

 訴状などによると、男性は空港の関連工事をめぐり、平成19年4月ごろから建設会社に依頼されて、資材の確保に協力。経費の支払いなどをめぐって建設会社側とトラブルになったため、横浜弁護士会所属の村田恒夫弁護士(67)に交渉を委託した。

 村田弁護士は21年4月、建設会社側と交渉するため、男性とともに工事現場の事務所を訪れたところ、見知らぬ男が村田弁護士に対して「ここは円満に収めてほしい」などと持ち掛けた。その際、男は住吉会の名前が入った名刺を男性に手渡したという。

 後日、この男が実際に住吉会の2次団体の組長であることが判明。村田弁護士は「暴力団の名前で威迫され、交渉業務を妨害された」として今年3月、組長に加えて、この件に関与していない福田会長にも「配下の組長についての使用者責任がある」として、2人に対して1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴訟では、住吉会側がこの組長について「既に破門にしており、所在が分からない」と主張したため、福田会長と組長の訴訟を分離して審理。福田会長側が村田弁護士側に10月11日付で300万円を支払い、和解した。

 警察関係者は「使用者責任を法廷の場で認定されてしまうのを回避したのだろう」と指摘している。

【用語解説】使用者責任…民法で「使用者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害の賠償責任を負う」と規定。暴力団トップへの賠償責任追及はこの規定に基づく。平成20年施行の改正暴力団対策法により、抗争の巻き添えだけでなく、組員が暴力団の威力を利用した資金獲得活動で他人の生命や財産を侵害した場合もトップへの賠償責任追及がしやすくなった。

【用語解説】住吉会…東京・赤坂に本部を置き、19都道府県に勢力を張る指定暴力団。構成員数は約5600人で、山口組に次ぐ国内2位。米財務省は今年2月、山口組を犯罪組織と認定し、山口組と篠田建市組長らの資産を凍結。9月には住吉会と福田晴瞭会長らの資産も凍結している。